【板金曲げ】鈍角・鋭角の図面指示を理解。

板金図面の寸法で、「鋭角・鈍角」の部分理解されていますか?。要求があっての寸法指示ですが、間違った指示を出すと、完成品の形状が違ったり・過剰にコストがかかったりします。あなたの要求にあった製品を手に入れるために、間違いのない指示を出せるように覚えてほしいことです。

鋭角・鈍角は架空の交点を出して寸法表記。

寸法指示には、いくつかの方法があります。それはそれだけ要求の方法があるということです。ですが、わたしの経験上話を詰めていくと一番多いのは、「架空の交点からの曲げ寸法指示です。」。先ずは、間違った寸法指示と、理想の寸法指示を見ていきましょう。

問題のある寸法指示。

図は、Rの部分への指示がなにもありません。R部分は、「49.3」の中に入っていないので、形状の指示が全くない図になっています。だからと言って、Rの大きさを内側であろうと外側であろうと指示を出すと、必要があればよいのですが「必要のない場合」無駄にコストがかかる可能性があります。

架空の交点を作る。

見ていただいている通り、外Rの部分を延長して交点を作る。交点からの寸法を表記する。こうすると「49.3」の部分は今回の図で言うと、「50.0」になりR部分も含んだ指示になります。

指示がないので作れない。

最初に紹介した図は、寸法が足りていません。「寸法が足りない⇒作れないとなり⇒見積りも出ない」となります。寸法が足りていないとは、今回の場合は、R部分を避け寸法が入った状態になっています。

架空の交点点からの計算。

最初の図と架空の交点を作った図の違いは何だと思いますか?
「Rの部分」を寸法内に収めたか、収めていないか、ということです。

収めた場合。

「Rの寸法が5であろうが10であろうが」50の長さに影響はありません。

収めなかった場合。

49.3+「Rの大きさ」となりますので、Rの寸法指示次第で大きさが変わります。

要求値の注意。

ここまで話を進めてきましたが、あなたが本当に欲しい形状は大丈夫でしょうか?曲げ部分にこだわりがあって、曲げの内R・外Rの寸法指示はないですか?以前お話ししましたが外Rの指示は、曲げではなくなります。工程としてはプレスです。

【板金加工】曲げの〇△×この設計がコストに反映する。

曲げとプレスの違い。

ここで理解していただきたいのは、作り方ではありません。指示した形状を作るためのコストです。

曲げ。

要求値は、角度・寸法(曲げの長さ)になります。金型は汎用の金型が利用可能で、R指示を行うと専用の金型が必要になります。外Rの指示は難しく「できなり」(できた結果)に任せられます。結果、近い寸法は出る可能性はあっても、計算のもとできた結果ではなありません。

プレス。

プレス加工は、金型である「上型・下型」共に計算され、その製品専用に作られます。曲げと違って予定通りの結果として形状を作りだすための専用金型です。形状によっては曲げの数倍の加圧が必要になります。

コスト。

汎用型で形状作成(曲げ加工)が可能な「曲げ」と、その形状専用の金型を作らねばならない形状では、金型の費用がすべてのしかかってきます。いくつくくるのかによっての選択肢もあるでしょう。

架空の交点は鋭角でも同じ。

鈍角でのお話をしてきましたが、鋭角でも同様です。

延長線上にある、架空の交点よりの距離を出すことにより、曲げの寸法は分かります。この場合の注意点は、図面に「曲げは最小Rとする。」このような注意書きがあると、見積りもスムーズ・製造もスムーズにいくでしょう。気になるようであれば「最小Rはいくつぐらいになりますか?」なんて質問もありですね。

板金加工の指示。

図面では、いろいろな指示ができるのですが、板金・切削・樹脂加工などは、それぞれ独特な表記をする場合があります。全部を覚えることは難しいでしょうが、板金図面での「鈍角・鋭角」指示については、覚えておいた方が良いかもしれません。逆を言うと、切削加工では「R寸法」がないと加工ができません。板金はあると面倒。全くルール多すぎてすみません。