板金曲げ!何㎜まで曲がるの?小さく曲げるズバリお答えします。
こんにちはクロです。
箱をつくる!フレームをつくる!ステー・アングルどんな部品でももそうですけど、切って溶接!ではコストが高くついてしまいます。今回は「ここは曲げたいんだよな!」でも、こんな短く曲げれるのか?なんて疑問にお答えする回です!
もちろん特殊な金型を作れば可能なこともたくさんありますが標準品で低コストで加工することが前提です。
曲げ幅を決めるのはVだ!
「V?」はい!この感覚は正解です。
実際加工をしていない人は全くわからないでしょう!
ですから、「何㎜まで曲げれるの?」こんな質問になるわけなのですが…
Vは金型のサイズを表しています。
Vが理解できれば簡単に最小曲げ寸法をイメージすることが可能です。
例えば、SPCC t=1.0㎜ なら最低曲げ幅は 4.0㎜ となります。
※条件として【曲げRは最小とする】
金型のサイズVとは
板金を曲げる時に使う金型(下型・台)の切り込んでいるサイズを表しています。
画像の幅部分をVと呼びます。
曲げは「てこの力」を利用して曲げるので支点・力点・作用点の3つが必要です。
ここで必要なのは、どこが支点だとかはどうでもいいんです。
3点が金型に触れているかが問題ないんです。
3点金型に触れていないと曲げることができません。
加工機(ベンダー)正面から見て
金型(下型・台)部分の 奥に製品が乗って(3点触れて)初めて曲がるので
最低限曲がる寸法は最低距離が決まり、金属同士の滑る特性をを考えるとプラスの距離が必要になります。
そうして出た答えが!
ご説明した SPCC t=1.0㎜ なら最低曲げ幅は 4.0㎜ が一例となります。
曲げに使う金型を決める3つの要素
AならBみたいな単純な答えが出せれば一番いいのですが、板金加工はそう簡単じゃないところが面白い。「最低何㎜で曲げれる?」の答えについて条件を考えてみます。少しばかり以前お話ししたネジと板厚の関係に似ているので思い出していただけるといいかもです。
- 板厚=板の厚さによって曲げる時にかける力が変化します。
- 長さ=曲げる長さも圧力に調整が必要です
- 材質=材質の硬さが関係してきます
今までは職人さんの経験で、「〇㎜曲がる・曲がらない」が、決められていたところもあったのですが、CAMの導入により経験より、ソフトを使う知識が求められてきているため、このようなお話もできるようになりました。
CAMには、3つの要素が情報として取り込まれており瞬時に答えを出してもらうことが可能です。
曲げ工程の分解
工程の分解を簡易表を使いこなしましょう
金型(台・下型)を選ぶ
金型(上型)標準・直剣・グースネックなど
各金型をセット
CAMデータを呼び出す
曲げる
- 条件を確認する 材質・板厚など
- 金型(台・下型)を選ぶ
- 金型(上型)曲げる形状に対応 標準・直剣・グースネックなど
- 各金型をセット
- CAMデータを呼び出す
- 曲げる
この工程の中で注意すべき点は、金型(台・下型)を選ぶ です。
条件は仮に今回 SPCC t=1.0㎜ とします。
この条件だと V6 の台を選定します。
その理由の一つとして、単純ルールで計算がありまして。
板厚×倍率=Vの近似値 となります
問題は倍率です。難しい計算があるのですが、単純に目安になるルールを表にしてみます。
板厚 | 倍率 |
0.5㎜~2.6㎜ | ×6 |
3.0㎜~8.0㎜ | ×8 |
9.0㎜~10.0㎜ | ×10 |
条件に表の倍率を当てはめると
1.0㎜の板厚だと ×6 を選ぶことになり
t=1.0㎜ × 6 = 6.0
6.0は近似値ですので 少し大きめの金型ですとV6となります。
V6の場合 約4.0㎜が最小です。
3つの要素・倍率・V選定からザックリイメージですが(SPH・SPCの場合)
V幅 | 最小曲げ幅 | 板厚 |
V4 | 2.8㎜ | ~0.6㎜ |
V6 | 4.0㎜ | ~1.0㎜ |
V7 | 5.0㎜ | ~1.2㎜ |
V8 | 5.5㎜ | ~1.4㎜ |
V10 | 7.0㎜ | ~1.6㎜ |
V12 | 8.8㎜ | ~2.0㎜ |
V14 | 10.0㎜ | ~2.3㎜ |
V16 | 11.0㎜ | ~2.6㎜ |
V18 | 13.0㎜ | ~3.0㎜ |
V20 | 14.0㎜ | ~3.2㎜ |
赤字の金型は、板厚の流通性が良いため、多数の工場で常備していると思われます。
全部の金型を工場は持っているわけではありません。
V6・V10・V14・V20 こんな感じで飛ばしで飛ばしで持っていて間をカバーするようにしています。
まとめ
小さく曲げたいときは、ルールがあって、そのVに合わせた最小曲げ寸法があります。そこを注意しながら設計を行うと特殊な金型の用意をしたりせずに低コストでご要望のモノづくりが可能になります。
もし、見積り依頼して「金型が必要です」なんて事を言われたら、解決方法は二つからの選択です。
他社から相見積り取ってみる。
残念ですが「何㎜なら曲がりますか?」と聞いて設計変更を行う。
どちらにしても、「マッチした金型がないから難しい!」なので理想は、数社の板金加工業さんと普段からお付き合いできるといいのですが…
金型の所有状況も驚くほど見積りに反映される可能性があります。
こんな時は、試作工場のように多数の金型を持っているところのほうが「安くなる!」なんて事もあり得るかもしれません。