【完全保存版】アルミニウム型番(1000〜7000系)の違い・形状・加工方法まとめ
図面を描く設計者の方や、材料を手配する購買担当者、製造現場のオペレーターの方で、こんなお悩みを抱えていませんか?
- 「A5052とA6063って何が違うの?」
- 「この型番で角パイプや丸棒の手配はできる?」
- 「レーザー切断や曲げ加工に向いているアルミ型番を知りたい」
アルミニウム(アルミ合金)は、添加する元素によって1000系から7000系まで大きく7つのグループ(系)に分かれており、それぞれ得意な形状(板・丸棒・パイプ等)や加工適性(レーザー・切削・曲げ・溶接等)が全く異なります。
この記事では、「A」から始まる主要なアルミニウム型番の特徴・流通形状・加工方法への適性を徹底解説します。
- 1. ひと目でわかる!アルミニウム型番の選び方クイックガイド
- 2. 1000系:純アルミニウム(純度99.0%以上)
- 3. 2000系:Al-Cu(銅)系:高強度のジュラルミン
- 4. 3000系:Al-Mn(マンガン)系:耐食性と成形性の両立
- 5. 4000系:Al-Si(シリコン)系:耐熱・耐摩耗に優れた特殊系
- 6. 5000系:Al-Mg(マグネシウム)系:板もの・板金加工の絶対王者
- 7. 6000系:Al-Mg-Si系:押し出し型材・サッシの絶対王者
- 8. 7000系:Al-Zn-Mg系:アルミ最高強度の超々ジュラルミン
- 9. 一目でわかる!アルミ型番×形状×加工適性 比較表
- 10. まとめ:用途に応じた適切なアルミ型番を選ぼう
ひと目でわかる!アルミニウム型番の選び方クイックガイド
まずは「どの型番を選べばいいか迷っている」という方のために、用途・加工法別の鉄板型番をまとめました。
- 【板金加工(レーザー切断・曲げ・溶接)】 ➔ A5052(迷ったらこれ!板の絶対王者)
- 【精密削り出し(マシニング・NC旋盤)】 ➔ A2017(ジュラルミン)/ A7075(超々ジュラルミン)
- 【丸棒からの旋盤加工】 ➔ A5056(切削性に優れた丸棒材)
- 【角パイプ・アングル・フレーム(押出材)】 ➔ A6063(型材の超定番)
- 【とにかく強度最優先】 ➔ A7075(アルミ最高強度)
1000系:純アルミニウム(純度99.0%以上)
1000系は、他の金属をほとんど混ぜていない「純アルミニウム」です。強度は低いものの、優れた耐食性・電気伝導性・熱伝導性・成形性を持っています。
A1050
- 主な形状:板、コイル
- 加工適性:
- プレス・絞り・曲げ:◎(非常に柔らかく、深絞りや複雑な曲げ加工に最適)
- 溶接:◎(TIG・MIG溶接、スポット溶接ともに非常に容易)
- レーザー加工:△〜○(光の反射率が高いため、ファイバーレーザー推奨)
- 切削(フライス・旋盤):×(柔らかすぎて刃物に付着し、バリが出やすい)
- 主な用途:放熱板、家庭用品、反射板、電気配線材
A1100
- 主な形状:板、コイル、線材
- 加工適性:
- プレス・曲げ:◎(A1050同様、プレス成形に非常に強い)
- 溶接:◎(接合性良好)
- 切削(フライス・旋盤):×(切削向きではない)
- 主な用途:建築用パネル、キャップ、アルミ器物
A1070
- 主な形状:板、箔、線材
- 加工適性:
- 圧延・絞り:◎(超薄箔の圧延加工が可能)
- 主な用途:アルミホイル、電子部品、化学容器
2000系:Al-Cu(銅)系:高強度のジュラルミン
2000系は、銅(Cu)を添加して鋼材並みの強度を持たせた熱処理型アルミ合金です。通称「ジュラルミン」と呼ばれます。
A2017(ジュラルミン)
- 主な形状:丸棒、厚板
- 加工適性:
- フライス・マシニング加工:◎(切りくずが細かく割れ、サクサク削れる。高精度加工の定番)
- 旋盤加工:◎(仕上げ面が滑らかで美しく仕上がる)
- レーザー加工:×(銅が含まれるため熱クラックが入りやすく非推奨)
- 曲げ・溶接:×(硬いため曲げると割れる。溶接もクラックが発生するため不可)
- 主な用途:機械部品、航空機用部材、ジグ・工具類
A2024(超ジュラルミン)
- 主な形状:厚板、丸棒
- 加工適性:
- フライス・旋盤加工:◎(A2017以上の高強度で、極めて高い寸法精度が出せる)
- 曲げ・溶接・レーザー:×(すべて不適合)
- 主な用途:航空機構造材、高精度フレーム、車輪部品
3000系:Al-Mn(マンガン)系:耐食性と成形性の両立
純アルミの優れた耐食性と成形性を維持しつつ、マンガン(Mn)を加えて強度を高めた非熱処理型合金です。
A3003
- 主な形状:板、コイル、薄肉パイプ
- 加工適性:
- プレス・絞り:◎(缶のボディやケースの打ち抜き・絞り加工に最適)
- ろう付け・溶接:◎(熱交換器のろう付けに非常に高い適性)
- 主な用途:飲料缶ボディ、自動車用ラジエーター、カラーアルミ
4000系:Al-Si(シリコン)系:耐熱・耐摩耗に優れた特殊系
シリコン(Si)を添加することで、熱膨張率を小さくし、耐摩耗性を向上させた系です。
A4032
- 主な形状:丸棒、鍛造用ブロック
- 加工適性:
- 鍛造加工:◎(熱間鍛造性に優れる)
- 切削加工:○(シリコンを含むため工具の摩耗は早いが、精密切削は可能)
- 主な用途:エンジンピストン、コンロッド
A4043
- 主な形状:溶接ワイヤ(溶接棒)、線材
- 加工適性:
- 溶接溶融性:◎(アルミ溶接の際の溶接割れを防止する溶加材として必須)
- 主な用途:アルミ溶接用ワイヤ
5000系:Al-Mg(マグネシウム)系:板もの・板金加工の絶対王者
マグネシウム(Mg)を添加した非熱処理型合金で、耐食性・溶接性・加工性のバランスが最も優れているため、市場流通量が極めて多いシリーズです。
A5052(板金・加工の超定番)
- 主な形状:板(薄板〜超厚板)、丸棒、角棒、パイプ
- 加工適性:
- レーザー加工:◎(ファイバーレーザーで非常に安定した切断が可能)
- プレス・ブレーキ曲げ:◎(曲げ加工性が抜群で、クラックが入りにくい)
- 溶接:◎(TIG/MIG溶接性が良く、強度も維持される)
- 切削加工:○(切削可能だが切りくずが伸びやすいため、面削材を使うと精度UP)
- 主な用途:各種板金加工品、筐体、車輪、船舶、一般機械部品
A5083
- 主な形状:厚板、丸棒
- 加工適性:
- 溶接:◎(溶接構造用アルミとして最高峰の強度を持つ)
- 曲げ加工:△(A5052より高強度なため、曲げRを大きくとる必要あり)
- 主な用途:船舶、圧力容器、車両フレーム、低温用プラント
A5056
- 主な形状:丸棒、線材
- 加工適性:
- 旋盤加工(NC旋盤):◎(マグネシウムが多く、丸棒からの自動旋盤削り出しで抜群の切削性)
- 主な用途:リベット、ボルト、丸棒からの切削加工部品
6000系:Al-Mg-Si系:押し出し型材・サッシの絶対王者
マグネシウムとシリコンを添加した熱処理型合金で、「押し出し成形性」に極めて優れています。
A6063(型材・サッシの超定番)
- 主な形状:押出型材(角パイプ・丸パイプ・アングル・チャンネル・専用フレーム)
- 加工適性:
- 押出成形:◎(複雑な中空断面や細い異形断面を自在に形成可能)
- 長尺追加工(フライス・穴あけ):○(アルミフレームの追加工が容易)
- 溶接・曲げ:○(曲げパイプや構造フレームの組み立てに対応)
- 主な用途:建築用サッシ、アルミ構造フレーム、ディスプレイ機器
A6061
- 主な形状:押出型材、板、丸棒、パイプ
- 加工適性:
- 切削加工:○(T6処理材はA5052よりも切削性が良く、フライスで精度が出しやすい)
- 溶接:○(溶接可能だが、溶接熱により熱影響部の強度が低下するため注意)
- 主な用途:車両・船舶の構造部材、継手、陸上構造物
7000系:Al-Zn-Mg系:アルミ最高強度の超々ジュラルミン
亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を添加した熱処理型合金で、アルミニウム合金の中で最高クラスの強度を誇ります。
A7075(超々ジュラルミン)
- 主な形状:厚板、丸棒、角棒
- 加工適性:
- フライス・マシニング加工:◎(極めて高い硬度を持ち、バリが出ず高精度な面出しが可能)
- 旋盤加工:◎(最高精度の回転体削り出しが可能)
- レーザー・曲げ・溶接:×(熱影響でクラックが即座に入るため不可)
- 主な用途:航空機部材、宇宙機器、高精度金型、スポーツ用品(高級登山用品等)
A7N01
- 主な形状:大型押出型材、厚板
- 加工適性:
- 溶接:◎(7000系でありながら溶接可能。溶接後に自然時効して強度が回復する特性を持つ)
- 主な用途:新幹線・鉄道車両の車体、大型構造物
一目でわかる!アルミ型番×形状×加工適性 比較表
| 型番 | 主な系統 | 主な流通形状 | 切削(フライス・旋盤) | レーザー切断 | 曲げ・プレス | 溶接 |
| A1050 | 純アルミ | 板、コイル | × | △ | ◎ | ◎ |
| A2017 | ジュラルミン | 丸棒、厚板 | ◎ | × | × | × |
| A2024 | 超ジュラルミン | 厚板、丸棒 | ◎ | × | × | × |
| A3003 | Al-Mn系 | 板、薄肉パイプ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
| A5052 | Al-Mg系 | 板、丸棒、パイプ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
| A5056 | Al-Mg系 | 丸棒、線材 | ◎ | – | × | ○ |
| A6063 | Al-Mg-Si系 | 押出型材(パイプ等) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| A6061 | Al-Mg-Si系 | 厚板、型材、丸棒 | ○ | ○ | △ | ○ |
| A7075 | 超々ジュラルミン | 厚板、丸棒 | ◎ | × | × | × |
まとめ:用途に応じた適切なアルミ型番を選ぼう
アルミニウムは、型番ごとの特徴と適した形状・加工法を正しく理解することで、コスト削減・品質向上・加工トラブルの回避に繋がります。
- レーザー切断や板金曲げ・溶接なら ➔ A5052
- マシニング・NC旋盤で精密に削り出すなら ➔ A2017 / A7075(丸棒はA5056)
- アングルや角パイプなどのフレーム構造を作るなら ➔ A6063
図面作成や材料選定の際は、ぜひ本記事の比較表を参考に最適なアルミニウム型番を選定してください!