【超初級】アルミニウムの種類
アルミニウムの選び方「自分ルール」持っていますか?どんな材質での選定もそうですが過剰になるとコストが上がります。必要以上の性能要求をする結果ですよね。
あなたの手元にあるパソコン・家電・そのほか色々な製品に「この機能使わないな…」ってことはありませんか?過剰な性能要求は、不要な機能を搭載しているのと同じことなんです。過剰性能にならないために最低限理解してほしいアルミニウムの事。こんなお話をしていこうと思います。
今回の目線はこちら
- アルミニウムの特徴・使われる理由
- アルミニウムは 2×2 の4種類から構成される
- 特徴を表す番手とは
アルミニウムの特徴・使われる理由。
誰でも知っている特徴や選ばれる特徴などを混ぜてお話ししていきましょう。
金属としてとにかく軽い。
比較される金属の中では、アルミニウムはとにかく軽いです。
比重比較すると
銅(8.9)>ステンレス(8.0)>鉄(7.8)>アルミニウム(2.7)
※代表的な数値です。
見ていただいている通り、他の金属から比べると約1/3程度の比重です。
錆びにくい。
錆びないわけではありません。「錆びにくいです」表面の酸化被膜のおかげで錆びにくい性質を持ちます。
アルミニウムは「白錆び」と白い錆が発生します。皆さんが思い描く赤茶色のものと違うのであまり確認することもないかもしれません。
熱伝導率が優れている。
アルミニウムは鉄などと比べると3倍程度、熱伝導率が良いです。熱伝導率が良いということは、冷却性も高いということになり、熱を逃がす製品の殆どには第一候補としてあげられるでしょう。
非磁性体でもある。
非磁性体であるアルミニウムは、電気を帯びることはありません。その為、医療機器や磁場に弱い製品は、アルミニウムを主とした構造で作られるものが多いようです。
電気を通しやすい。
あまり知られていないかもしれませんが電気の伝導率は高いです。
銀(105.7)>銅(100)>金(75.8)>アルミニウム(59.5)>鉄(17.5)
数値で言うと銅の6割程度の伝導率です。
ですが、銅とアルミニウムは比重が3:1となるため、同じ重量のの銅とアルミニウムの場合、銅1に対してアルミニウム1.8と約2倍の電気を流すことが可能になります。
送電線(変電所どうしをつなぐ電線)や配電線(変電所から家庭へ繋ぐ電線)は、アルミニウムの素材を使います。
融点が低い。
金属としては、融点が低いです。
鉄(1536℃)>銅(1084.5℃)>アルミニウム(660℃)
この特徴のため、溶かして型に流し込みモノづくりを行う、鋳物・鋳造などの製品作りに適しているとも言えます。
リサイクル性が高い。
融点が低いため、再利用にかかわるコスト(アルミニウムを溶かす)が安くなるためアルミニウムは、使用後の半数程度がリサイクル可能です。
※代表的なものは空き缶です。
アルミニウムの分類は先ず 2種×2種 の4種類から。
アルミニウムの種類は、大きく分けるとこの4種類になります。
・鋳物用合金 ― 非熱処理型
∟ 熱処理型
・展伸用合金 ― 非熱処理型
∟ 熱処理型
4つの言葉を見ていきます。
鋳物用合金。
素材を直接目にすることはほとんどないと思われます。砂型などを利用し流し込む鋳物の加工に優れた材料です。
展伸用合金。
展伸加工に優れた材質になります。既に材料としての形状が作られているモノが多く、形状は、板・条・形材・箔・管・棒・線、などです。
非熱処理型
圧延・冷間加工によって強度を増すことのできる材質です。
※プレスをしたり・曲げる加工の事を圧延・冷間加工と言います。
熱処理型
焼き入れ・焼き戻しを行うことにより強度が得られる素材。
特徴を表す番手とは。
アルミは純度が高ければ高い程、やわらかい金属です。その為、別な素材と混ぜ合わせることにより強度を増したり、加工精度を上げたりして新しい素材を作り上げています。その種類分けに番手が使われるのです。
1000系
純度の高い別名「純アルミ」とも呼ばれます。純度は99.0%以上で1050・1100・1200などの種類があります。純度が高い=耐食性・電気伝導率・熱伝導率が優れています。ですが、強度は低いため、一般の利用は、強度を求めないものが多いようです。主に送電線・放熱板などに利用されます。代表的な製品は「1円」でしょうか。
2000系
アルミニウムに銅を加えた合金です。ジュラルミンと言うと聞いたことがある方もいるかもしれません。2017(ジュラルミン)・2024(超ジュラルミン)と呼ばれ、主に自動車部品・航空機の部品に利用されているようです。耐食性が1000系より、やや劣ります。
3000系
アルミニウムにマンガンを加えた合金です。1000系の耐食性を下げずに強度を少しだけ挙げた製品になります。3003・3004は、住宅の建材に使われることも多く、身近な製品になります。代表的な製品は、やはりアルミ缶でしょう。
4000系
アルミニウムにケイ素シリコンを加えた合金です。4032は、耐摩耗性・耐熱性に優れています。エンジン部品のピストンや建築パネルなどに使われることが多いようです。身近に存在しますが、目に見えて「これ」といった製品ではなく何かの中に使われることが多いようです。
5000系
アルミニウムにマグネシウムを加えた合金です。5052・5056・5083は非熱処理アルミニウムの中でも最も強度が強い合金です。素材として様々な形状があるため、利用場所は幅が広いです。建材・調理器具などで使われることが多いようです。
6000系
アルミニウムにマグネシウム・ケイ素シリコンを加えた合金です。6061・6063などが代表的です。特徴としては、建築用の押し出し材としての利用が可能です。皆さんが良く目にするアルミサッシなどは、6063が利用されていることが多いです。強度は中程度ですが、耐食性が優れている事と、押し出し加工ができることにより、他のアルミニウムと違った利用法がとられることが多いです。
7000系
アルミニウムに亜鉛・マグネシウムを加えた合金です。7075は、超々ジュラルミンと呼ばれ、現在最も強度の高いアルミニウムです。熱処理を加えることにより強度が増すのが特徴でしょう。航空機の部品や電車車両の部品に利用され、この製品も「身近にあるけど目に見えない」製品の1つでしょう。
まとめ
特徴や種類・番手とお話してきましたが、アルミを選ぶための代表的な要因は、軽さと耐食性です。他の金属では得られない価値のある特性です。
「種類がありすぎて・・・」などの声を頂くこともあります。そんな時は加工業者様に相談するのが一番でしょう。目的を伝えて、機能を伝えてより良い材質選定ができることを願っています。