板金加工の曲げ、この痕(キズ)消えない?

板金加工の曲げを行うと、曲げのラインに沿って右側・左側、または左側・右側に痕ができてるのを見たことありませんか。気になって後から磨いたり、塗装したり、「最初からなければいいのになぁ」なんて思われませんか?これはなんの痕。消すことは可能なのか・消す時は、何に使う時?などをご案内。

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「消す」はある意味間違っている。

先ず、「消す事は可能です。」これを伝えておきます。なぜこのような表現をするかというと、「消す」という表現は、「有るものを消す。」となるからです。正確に言うとここでご案内する内容は、「痕をつけない加工をする。」が正確な表現です。
※今後、曲げた時に付く痕を、曲げ傷と表現していきます。

曲げ加工キズ

曲げ傷を付けない方法。

これは、いくつかありますが代表的なものは、物理的な曲げ傷防止シートを金型の上に置いて曲げる方法です。(クッキングシートのようなものをご想像ください。)

曲げ傷のつく理由。

曲げを行う時に製品は、曲げに利用する金型の上を滑りながら曲がります。曲げ傷は、その滑った量の分だけ付きます。これは板厚が、厚ければ厚くなるほど滑る量は多くなり曲げ傷の幅は大きくなります。
(動きについては、ご要望が多くあればご説明いたします。コメント下さい。)

曲げ傷防止シートでの回避。

傷防止シートは、金属がシート状を滑りやすく作られたものです。曲げる際に、製品が金型を滑る時に、滑る移動を手助けし傷がつかないように保護するものです。この曲げ傷防止シートを利用することにより、曲げ傷はつかないのですが、「全部使えばいいじゃん。」そう思われて当然です。全部に利用しない理由は、デメリットがあるからです。

曲げ傷防止シートのデメリット。

曲げ傷防止シートは消耗品ということと、取付が面倒ということです。金型につけた状態での放置が難しく、加工機に金型を取り付けた状態でしか張り付けることができません。工場では、何度も金型の変更が必要な場合もあるので都度だと作業的に面倒です。ですが、要望があれば対応もしていきます。

曲げ傷なしの加工要望コストは?

コストは当然上がります。消耗品である曲げ傷防止シートを利用するわけですから上がります。ですが、価格的には数量・長さ・曲げ回数にもよりますが、数十円~数百円ではないでしょうか。

どこで頼める。

依頼先に関しては、曲げ加工のできる板金工場であればどこでも可能です。金型を問わずに対応できるのが、このシートのメリットでもあるからです。ただ普段から加工(曲げ傷なし)を行っていない工場に依頼すると、曲げ傷防止シートの残数買取りをお願いされるかもしれませんので確認は必要かもしれません。

どうやって伝える。

図面に表記してください。

  • 曲げ傷についてはNGとします。
  • 曲げ傷についてはシートなどで回避してください。

このような文面で図面に注釈を入れていけば対応していただけるでしょう。

曲げ傷なしの利用方法。

まず最初に思いつくのは、外装部分に利用する場合です。外装は見た目重視になるので当然でしょう。「外装で表面処理を行うから不要」という意見もありますが、膜厚の薄い塗装やアルマイト処理・カッティングシートの貼り付けなどは見えてしまう場合もあります。テストされる必要があるかもしれません。

まとめ。

曲げ傷を付けずに曲げ加工をすることは可能です。ですが、コストが上がります。この部分を十分理解して、あなたの作りたいモノ、欲しいモノにコスト上昇分のメリットがあるかどうかを判断してみてください。加工工場としては経験が「ある・ない」はあると思うのですが、ベンダー(曲げ加工機)があればどこでも対応可能な加工です。ただ、利用にはチョットした癖があるので経験されている工場の方が良いかもしれません。