板金加工・曲げの「無理曲げ」を理解する。

あなたが設計する3D設計の世界では、すべて計算値で設計が進んでいきます。まったく便利な世の中です。ですが、現実の世界ではどうでしょう。金属を「曲げる」ということは、製想像以上に製品に負荷をかけています。金属は伸びる板金のお話を以前させていただきましたが、実は「伸びる」だけでなく「膨らみ」ます。膨らむと言っても風船のように膨らむわけではありませんが、伸びたり・膨らんだり・引っ張られたり。板金加工はまだまだ面白いことだらけです。今回は、「伸びる・膨らむ・引っ張られる」この3つが入り混じる「無理曲げ」のお話です。

少しだけの想像で板金の曲げを理解しましょう。

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無理曲げってなに。

金属は紙のように簡単に曲がりません。言葉で表現すると「板金を綺麗に曲げる」とは、「なんt(トン)」もの力を加えなければいけない行為は、すべてに「無理」が存在します。そこで生まれるのが「無理曲げ」です。実際は変な方向に引っ張られる力が働いているように見えます。それは板厚に関係なく形状で、すべて発生するのです。※板厚が薄いものは、確認しにくいだけで「無理曲げ」無理に行われています。

無理曲げ

2つのラインが重なる交点には、「伸びる・膨らむ・引っ張られる」この3つの力が集中するため、予想外の形状が生まれる場合があります。「無り曲げ」の形状に問題がない製品であれば良いのですが、「問題がある」、「好ましくない」場合は、回避方法を考えねばなりません。

回避方法。

答えは割と簡単です。

  1. ラインをずらす。
  2. スリット・レリーフを作る(切り欠を作る)。

1.ラインをずらす。

製品の外形ラインと曲げのラインが同一線上にあると、「残る力・曲げる力」の両方が働き、特殊な形状になる可能性があります。この場合、どちらかのラインがズレることにより、力が分散されるので、外形のラインか、曲げのラインのどちらか一方を板厚分ずらすことで、「無理曲げ」の力はかなり分散されます。

ラインをずらす

スリット・レリーフを作る(切り欠を作る)。

図で見ていただくように、曲げのエンドラインにスリット・レリーフを作ると、外形ラインの部分を「置いてくる」事になるので曲げはきれいになる可能性が高いです。レリーフの場合、大きさの目安は、ラインに沿った方向に「板厚と同じ」長さ切り込みとしては、「板厚×1.5」程度欲しい所です。

スリット

利用場所の注意。

スリット・レリーフは、エッジが作られることになるため、利用する場所を考える必要が出てきます。「素手で触る場所にある」・「小さなお子様の製品」などには向かないので、別な方法を考える必要があるかもしれません。

まとめ。

板金の「無理曲げ」は外装などで注意しなければならない加工です。「伸びる・膨らむ・引っ張られる」で作られる歪みは、思っているより外装に影響を与えます。外装の設計時に、相談できる工場があればご相談をお勧めします。