工場ホームページで見る板金加工の設備・曲げ加工機のスペックの読み方

金属加工工場のホームページってよくわからないですよね。あなたが作りたいものがどの工場でできるのでしょうか。少しだけせれば、「できる」・「できない」だけでなく、見えないコストの削減もできるかもしれません。間違ったマッチングによる無駄なコストや納期の問題も解決。加工機の型番から加工を読みニーズに合わせる。スピーディなモノづくりの初歩の学び。

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ベストマッチのために回避すべきこと。

その工場で出来ない加工を依頼するとどうなると思いますか。答えは、普通に外注に出します。外注は人から人の伝言ゲームと同じで「リスク」が伴います。モノづくりに限らずですが、「リスクは最小限に」これは当然です。リスクを減らすために工場とのベストマッチを目指したい。その為には、依頼者であるあなたも最低限の知識が必要です。今回ご紹介している曲げ加工機(ベンダー)は、型番でスペックを読み取ることができますので、ポイントを抑えて、あなたのベストマッチへの最短ルートを探しましょう。

外注での問題点。

  • 納期のコントロール。
  • 品質の保障問題。
  • 手配コストのアップ。

納期のコントロール。

納期+外注先からの納品の日数がとられるため、納期が多めにかかる可能性があります。

品質保証の問題。

納品物に不具合が発生した時に、伝言ゲームが発生し対応に時間がかかる。

手配コストのアップ。

依頼先から外注先に手配を行うため、管理費が発生します。当然と言えば当然なのですが、最初からベストマッチが選べれば支払わなくてよいコストです。

ミスマッチの発生は、その殆どが「知識不足」から発生します。

加工機の型式と性能。

板金加工の曲げ加工機(ベンダー)を製造している加工機メーカは多くありますが、私の体感で最も多く利用されていると思われる、AMADA(アマダ)製の加工機についてご案内していきます。

AMADAの曲げ加工機。

曲げ加工機の殆どは、
アルファベット2~3文字 + 数字4桁で型式を表しています。
例】HG-8025。EG-4010。HD-1303。

  • HG(主力のハイブリッドベンダー)。
  • EG(小型のハイブリッドベンダー)。
  • HD(一世代前のハイブリッドベンダー)。
  • HRB(新旧のデータ活用のできるハイブリッドベンダー)

ここにあげた機種の曲げ加工機(ベンダー)を所持している工場には、3Dデータがあれば提供すると納期を短縮出来る可能性があります。

数字4桁の読み方。

数字は、前2桁が加圧できる能力、下2桁が加工能力です。

加圧能力。

  • 40 - 400kN - 40t
  • 50 - 500kN - 50t
  • 60 - 600kN - 60t
  • 80 - 800kN - 80t
  • 13 - 1.300kN - 130t
  • 17 - 1.700kN - 170t
  • 22 - 2.200kN - 220t

中間のkN(ニュートン)よりt(トン)で呼ばれることの方が多いようです。

加工能力。

  • 10 - 1.050㎜
  • 13 - 1.350㎜
  • 20 - 2.150㎜
  • 25 - 2.600㎜
  • 03 - 3.100㎜
  • 04 - 4.300㎜

アルファベット部分や加圧能力は特に気にしなくてもよいのですが、注意が必要なのは、加工能力です。加工能力は加工のできる長さを表しています。
例えば、10の加工機しかない工場に依頼する時、1.500㎜の曲げの依頼をすると外注になる可能性があります。

加工範囲は簡単に見ることができなるのでチェックも苦にならないでしょう。

オプション機能ATCとは。

ATCはマシニングにも搭載されている、自動金型交換装置のことです。曲げ加工機(ベンダー)の金型はとても重いです。有人の金型交換は、時間もかかりますし、落下などのリスクもあります。ATCの設置にはスペースも必要ですが、リスクを越えるメリットも存在します。データの呼び出しだけで金型交換ができるため専門知識が不要です。最近徐々に導入される工場も多くなってきました。

注意事項。

加工機の情報が読めても曲げ加工は特殊です。加工機のスペック+金型+作業者の経験の組み合わせで曲がる・曲がらないが決まってきます。僅か1.0㎜長くすることにより、コストが半分以下になる事もあります。

加工機を読んで要求値をまとめる。

加工能力(加工できる長さ)を確認して、不安要素をまとめましょう。曲げ加工での不安要素は、曲がるか・曲がらないかです。

  • 小さい曲げ幅。
  • コの字曲げ。
  • 特殊な形状。

このような要素は、直接相談できる会社が良いでしょう。

出来ないを言わない体質に注意。

板金加工工場は、大なり小なり、その会社独自のネットワークを持っています。出来る限りお客様の要望に答えるために、通常の見積もり段階で外注を使うのが当たり前と考える工場も少なくありません。依頼・相談時、「外注なしで加工するなら何か手はありますか?」と相談するのは1つの手かもしれません。

まとめ。

あなたが作ろうとしているのが商用として考えるなら、打ち合わせは必要でしょう。試作・量産試作・量産。その道中コストの面や作りやすさの面で力になってくれることでしょう。モノづくりが身近になったからこそ知識で武装すればより良い商品を作ることができるでしょう。