【一発回答】アルミ板の板厚規格早見表(A5052・A2024・A7075)|標準厚みと流通・設計選定のコツ

アルミ部品や筐体・架台の設計において、図面を描く際に必ず確認するのが「アルミ板の標準板厚(ミリ厚)」です。

「1.6t や 2.3t は鉄(SPCC/SECC)やステンレスの感覚で設計してもアルミに存在するのか?」

「A5052 と A7075(超々ジュラルミン)で手配できる厚みの種類に違いはあるか?」

「端数サイズ(1.5t や 2.5t など)を指定すると価格や納期はどうなる?」

本記事では、設計者や製造担当が一瞬で判断できるように「アルミ板の標準板厚規格(JIS規格・市場流通サイズ)早見表」と、手配コストを最小化するための設計ポイントを解説します。

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1. 【一発回答】アルミ板の標準板厚(t)早見表

市場で一般的に入手しやすい「A5052(一般機械・板金向け)」を中心に、「A2024(ジュラルミン)」「A7075(超々ジュラルミン)」の標準板厚と流通性をまとめました。

アルミ板厚(t)流通性区分表

板厚(t)A5052(標準材)A2024 / A7075(高強度材)手配性・流通レベル設計・加工での主な用途
0.5 mm◯△定番(薄板)遮蔽板、シールドケース、極小板金
0.8 mm◯△定番(薄板)筐体カバー、精密板金
1.0 mm◎◯超定番(標準)カバー、ブラケット、ケース類
1.2 mm◯△定番板金ケース、内部仕切り
1.5 mm◎◯超定番(標準)強度が必要な精密板金、筐体
2.0 mm◎◎超定番(標準)板金・切削問わず最も使われる標準厚
2.5 mm◯△中程度1.5t/2.0tでは強度が足りない場合の補強
3.0 mm◎◎超定番(標準)架台プレート、各種ブラケット、ベース板
4.0 mm◯◯定番切削ベース板、強度の高いブラケット
5.0 mm◎◎超定番(標準)切削プレート、小型機器のベース
6.0 mm◯◯定番構造材、固定プレート
8.0 mm◎◎超定番(大板)治具ベース、マシニング削り出し用
10.0 mm◎◎超定番(厚板)大型治具板、ロボットアーム部品
12.0 mm◯◯定番削り出し機構部品
15.0 mm◎◎超定番(厚板)厚物削り出し、治具ベース
20.0 mm〜◎◎超定番(ブロック)各種機構部品のブロック削り出し

※「◎:常時即納レベル」「◯:一般流通」「△:問屋手配・納期注意」

2. 鉄(SPCC)やステンレス(SUS)の板厚規格との重大な違い

他材質(鉄・ステンレス)からアルミへの材質変更(軽量化VA提案など)を行う際、最も陥りやすいポカヨケ(設計ミス)が「板厚の規格違い」です。

鉄・ステンレスに存在して「アルミに無い(少ない)」板厚

鉄(SPCC/SECC)やステンレス(SUS304)で多用される以下の板厚は、アルミ板においては標準規格として流通していない(または非常に入手しづらい)ため注意が必要です。

  • 1.6 mm(鉄・SUSの超定番) アルミでは「1.5 mm」が標準
  • 2.3 mm(鉄の超定番) アルミでは「2.0 mm」または「2.5 mm」が標準
  • 3.2 mm(鉄・SUSの超定番) アルミでは「3.0 mm」が標準
  • 4.5 mm(鉄の超定番) アルミでは「4.0 mm」または「5.0 mm」が標準

【設計の鉄則】

鉄図面からアルミへ置き換える場合は、「1.6t ⇒ 1.5t」「2.3t ⇒ 2.0t」「3.2t ⇒ 3.0t」**へ置き換えて図面を描くのがコストダウンの基本です。無理にアルミの 1.6t や 2.3t を探すと、特注手配やフライス・研磨削り落とし工数が発生し、コストが急増します。

3. 材質による板厚ラインナップの違い(A5052 vs A7075)

アルミ板は、合金成分(型番)によって板厚のバリエーションや用途が異なります。

① A5052(耐蝕アルミ・汎用)

  • 特徴:板金加工(曲げ・溶接)から切削加工まで広く対応する最もポピュラーなアルミ。
  • 板厚バリエーション:0.5mm の薄板から 100mm 以上の超厚板までフルラインナップで常備在庫されています。

② A2017 / A2024(ジュラルミン)

  • 特徴:銅(Cu)を含み、鉄並みの強度を持つ切削加工用アルミ。
  • 板厚バリエーション:主に切削用途として使用されるため、1.0mm 以下の超薄板は流通が少なく、2.0mm 以上の板厚が主流です。(※曲げ加工を行うと割れやすいため板金には不向きです)。

③ A7075(超々ジュラルミン)

  • 特徴:亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を含み、アルミ最高峰の強度を誇る高張力材料。
  • 板厚バリエーション:航空宇宙や高負荷ロボット部品の削り出し用途がメインのため、3.0mm〜50mm などのブロック・厚板材が中心となります。

4. コストダウンにつながる「アルミ板手配」の設計ポカヨケ

図面を描く段階で知っておくべき、アルミ板の調達コスト削減テクニックを3つ紹介します。

ポカヨケ①:端数板厚(例:1.8tや3.5t)は絶対避ける

強度計算上「1.8tで十分」だからといって図面に t=1.8 と指定してしまうと、材料メーカーから 2.0t の材料を購入し、両面をフライス削り(研磨)して 1.8mm に落とす作業が必要になります。

結果として、材料費の数倍の加工費が発生します。必ず標準の 1.5t や 2.0t を選定してください。

ポカヨケ②:ハイ・プレート(6061等)やフライス板(両面フライス品)の活用

面精度(平坦度・平面度)が必要なベースプレート用途では、標準圧延板(A5052)をそのまま使うと板反りが発生します。

  • 通常の板:切り出すと残留応力で反りが発生しやすい。
  • 両面フライス板(アルハイス・アルポリス等):あらかじめ表面が平滑にフライス加工され、面精度と内部応力除去がされた板。削り工数を大幅に短縮できます。

ポカヨケ③:曲げ半径(R)と板厚の関係

A5052 などのアルミ板金を折り曲げる際、鉄と同じ感覚で無理な内R(鋭角な曲げ)を指定すると、曲げ部の外側に見苦しいクラック(亀裂)が発生します。

アルミ板金の最小曲げRは、「最小でも板厚と同等以上($R \ge t$)」を確保するのがポカヨケの基本です。

5. まとめ

  1. アルミの標準板厚:1.0t / 1.5t / 2.0t / 3.0t / 5.0t / 8.0t / 10.0t が超定番。
  2. 他材質からの置換注意:鉄やSUSの定番(1.6t / 2.3t / 3.2t)はアルミには存在しないため、1.5t / 2.0t / 3.0t に変更する。
  3. 特注端数厚みは避ける:削り落とし工数が発生するため、必ず市場流通している規格サイズを選択する。

標準的な板厚規格を理解して図面を引くことで、材料手配のリードタイムを短縮し、余計なコストを削った高品質なアルミ設計が可能になります。