初めてのパンチングメタル 基本を学ぼう

元来、放熱や遮熱の目的で作られた製品である「パンチングメタル」。ここ近年は、建築物のデザインとして取り入れられたり、安全柵の代わりに利用されたり多様な方面で活躍しています。しかし、情報が少なく思った形状のものを手に入れるのが難しかったりと少し頭を悩ませていませんか。カタログの読み方、注文時に必要な要求数値、情報がなぜこんなにバラバラなのか、今回はこんなお話です。

スポンサーリンク

パンチングメタルの規格は、製造各社が決めている。

金属加工の殆どは、JIS規格(日本産業規格)によって細かな規格が決められているのですが、パンチングメタルの規格はJIS規格ではないのです。ここがそもそも惑わせる原因で、規格(ルール)がないため、製造メーカーが自社独自の規格で作っている。これが現状です。それでも、製造メーカー各社は、最低限の共通項目を持つことにより良い関係を築きながら、製品を世に送り出しています。今回はパンチングメタルの分かりにくい3点でお話をしていきます。

  • 選定理由。
  • 発注決めておくこと。
  • 代用品は作れないか。

パンチングメタルの選定理由。

選定理由はあなたが何に使うかが大事になってきます。利用されるシーンは、スピーカーカバー・サンシェード・デザインカバー・・建築外装・内装・防音壁・吸音板・立体駐車場ゲートパネル・看板などいろいろな板で利用されています。

選定の第一目的

  • デザイン性 
  • 安全性 
  • 遮光性 
  • 放熱性

デザイン。

見た目が重視になるので最も気に入った製品が選べるでしょう。

安全性。

安全をどこに置くかです。考え方としては、高所などで、人間の体全体を受け止めながら、向こう側が確認できる。1つ1つの開口は、ある程度の大きさがあれば問題ないでしょうが、指が入るサイズになると引っかかってけがになる可能性があるので大きさを考える必要があります。

遮光性。

屋外などで直接日光が当たらないようにする場合、パンチングメタルは一つの選択肢です。直射日光を遮るだけなら、板材でもよいのですが、板材だと重量も重くなり設置場所の強度も必要になるでしょう。

放熱性。

重機や機械、変圧器、外出ると熱を発して稼働している製品は多数あります。その中には放熱することにより正常な稼働を行う製品も多数あり、自然放熱で対応できる製品などのカバーに使われることが多いでしょう。

デザイン重視の場合はさておき、安全性なら孔の大きさ、遮光性なら重量、放熱性なら開口率が大事になってきます。

パンチングメタルを選ぶルール。

ルールの明確でないパンチングメタルの選定は、次の項目が重要になってきます。

  • 孔径 
  • ピッチ 
  • 配列 
  • 材質 
  • 板厚

他に開口率や重量などと言われますが、開口率や重量は、この5項目が決まれば、計算が可能です。

孔径。

孔の大きさを表します。φ○○㎜のようなになります。

ピッチ。

孔と孔の距離を表します。これは○○㎜のようになります。

配列。

孔の配列を表します。代表的なものは、千鳥90°(並列)・千鳥60°千鳥45° です。

材質。

原材料である製品の板厚に準拠します。ですが加工の問題で、あまり厚い板厚のものは難しいでしょう。(これも企業問い合わせとなります。)

例えば

  • φ10-P20 90°千鳥  A5052 1.0㎜ 1000㎜×2000㎜
  • φ10-P20 60°千鳥  SPCC 0.5㎜ 914㎜×1829㎜
  • φ10-P20 45°千鳥  SPHC 1.6㎜ 1219㎜×2438㎜

このような感じです。

千鳥の説明(配列)。

千鳥は決まった法則のもと穴をあけていきます。

  • 1つの軸孔から水平に線を引く。
  • 反時計回りに角度を決める。
  • ピッチとの交点に指定の穴をあける。
  • 続けて穴をあける。
千鳥配列

千鳥を理解すれば、選定は可能です。

代用品は作れないか。

結論から言って代用品は難しいと思います。理由はいくつかありますが…

  • 製造工程上の問題。
  • 加工変形をなおす設備。

製造加工。

パンチングメタルを製造するメーカはノウハウの中で、同時に複数個の穴をあけ加工していきます。板金工場では同時に複数個の穴をあけるためには、新規で設備を導入する必要があります。同時に多数の穴を開けなと、製品が歪んでしまうからです。

ゆがみを直す。

孔数・ピッチ・孔の大きさにもよりますが、加工後は製品にゆがみが発生する可能性があります。通常の板金加工工場では、そのゆがみを取る設備は持っていません。

以前レーザー加工で特殊なパンチングメタルもどきを作製した経験はありますが、正直価格が合わないでしょう。あるメーカのテストとして行ったので、その時は問題なかったのですが板金工場での製造は難しいです。

もう一つ大事な事。

パンチングメタルの製造メーカーは、依頼すれば割と自由に形状を作っていただくお願いができます。ですがどうなんでしょう、コストの面を考えるとメリットがある場合は少ないでしょう。

まとめ。

パンチングメタルを選定する場合、使用目的を明確にしましょう。目的から形状も見えてきますし、材質もよりベターな選定ができるでしょう。選定できれば手に入れることができるかどうかは、製造メーカーのホームページなどで閲覧可能です。
孔径・ピッチ・配列・材質・板厚この5項目は、パンチングメタル利用のために必須条件となります。

パンチングメタルは、Amazonでも取り扱われているようですね。