切削部品を安くするポイント。設計前に覚えて欲しい-フライス

設計には必ず要求値があります。要求値を満たして更にコストを抑えて…設計者への要求値「高くない?」なんて思うこともあるのですが、仕事ですからね。あえて初心者向きのお話とますが、ずっと使える覚えて損のないポイントをご案内します。フライス加工の特性も踏まえて意識するだけでコストが下がる設計です。

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切削部品(フライス)設計の抑えたいポイント―初級でありずっとでもあり。

切削部品(フライス加工)は、金属・樹脂共に様々な形状が作ることが可能です。その為、無駄が多くなりがちです。無駄を排除すればコストは安くなります。加工は工数・工数は時間・時間はコスト、この部分は誰でも理解していることなんですが、いざ実践となると「よくわからん」これ正解です。今回は、その「よくわからん」をお伝えします。因みに、「よくわからん」は4つです。

  • 工具を統一できるところを統一
  • 加工方向を少なく
  • 無駄な加工はしない
  • 裏付けのない指示はしない

4つのよくわからんの分解。

4つの箇条書きだけで「ピンと」くる方は実践できてる方ですね。この先は読まなくてもよいかもしれません。ですが、「あれっ???」って方のために続けていきますね。

工具を統一できるところを統一。

例えば、孔の大きさ(サイズ)が違えば工具を取り替えなければなりません。そのため、違うサイズの孔を何種類も開ける加工を行うと、「工具の交換時間が多くかかります。」時間はコストです。1つでも2つでも孔のサイズを統一できないか検討しましょう。

加工方向を少なく。

フライス加工は、ある一方向から工具を当てて切削加工を行います。色々な形状ができるのは、工具の動かし方や、工具の種類によって形を変えることができるのです。ここで注意が必要なのは、常に製品に向かって1方向からの加工ということです。ある加工は、「上から下」またある加工は、「右から左」となります。ですので、製品の上下左右前後と6面すべてに加工を加える設計をすると、製品の向きを変えねばなりません。加工現場では、段取り・段替えなどと呼ばれますが、単純な加工でも6面すべてに加工を行うより5面の方がコストは抑えられます。当然、4面・3面・2面…。工具の侵入イメージを考え加工面を少なくすることを意識できれば、コストが抑えられる可能性が高くなります。

無駄な加工はしない。

無駄な加工で多いのは、C面取りやR面取りですね。考えていただきたいのは、C面やR面は、機能上必要かどうかです。そして、直接人が触る部品かどうかです。C面やR面は、「人が怪我をしないように」や「製品を迎え入れるために」などの怪我・傷に注意した結果が多いです。組付ける時に人が触る1回や2回程度の部品なら「糸面取り」で十分です。「以前、同じような形状で先輩がC面取りの指示だったんで…」言えないのは十分わかります。ですが、「何故C面取りが必要」の理由を話しできる人は少ないかもしれません。理由を説明できるのは、最初の設計要求値にあるからです。

裏付けのない指示はしない。

これは、「公差の指示」ですね。裏付けもなく厳しい公差を指示する。よく目にするのは、とある製造ラインの改修などで、以前の部品がここに公差が入っていたのでそのまま入れた。理由を聞くと「そのほうが、安全そうだから」ハイ、設計ではないですねこれ。改修設計などで、全部を把握するのは大変なのは十分わかるのですが、注意したいところですね。

まとめ。

手元に図面があったら見てみてください。今回お話ししたポイントが対応できているのかどうかを。今回のポイントは、経験で対応する内容ではないようです。10年・20年選手の設計者でも対応できていない人は多くいらっしゃいます。「こうした方が安くなりますよ。」と案内しても「時間内から次ね。」これがほとんど同じ回答ですね。逆に2年~3年の方でも意識していただける方は「バッチリ」できています。用は意識の問題なんでしょうね。