板金加工のヘミング曲げ(あざ折)目的・効果・安全性はどこに?

ヘミング曲げ、何か聞いたことあるんだけど使い方もよく分からないし必要あるの?効果や目的がよくわからないあなた!「正常です!」普通の生活で使わないですものね。でも板金加工の中では、割とメジャーな加工なんです。だって普通にヘミング曲げ用の金型が売っているくらいですからね。そんなヘミング曲げを上手に使うためのチョットした知識のお話です。

補強・安全ヘミング曲げの効果。

「ヘミング曲げ」別名「あざ折」板金加工では割とメジャーな加工なんですが「加工の目的」って言われると…ではないですか?
ヘミング曲げの目的は、製品の補強と安全性の確保です。板金は薄くても金属ですので、設計によっては簡単に「手が切れたり」・「引っかけたり」と怪我をしやすいです。補強を入れよ言うと板厚を上げたり補強材を溶接したりすると重量が上がります。それを避ける事ができるのが、「ヘミング曲げ」となるのです。更にメリットをもう一つ上げるとすると、「何らかのヘミング曲げの金型を通常設備として板金工場は所持しているでしょう。(そのぐらい要求値は高い加工なんです)本来特殊な加工を行うためには、金型を用意する必要がある場合が多いのですが、金型の心配がなく特殊な加工が出きるのというのは、メリットと言えるでしょう。

メリット。

  • 加工部分の強度が増す
  • 安全度が増す
  • 金型の準備は不要

デメリットはコストと加工限界。

ヘミング曲げは、加工を追加しますのでコストがかかります。ヘミング曲げだけで考えるとデメリットになるのですが、それを超えるメリットもあるんです。先程の話ではないですが重量を増やさずに強度を上げる。人が触る製品であれば「安全」は、コスト以上に重要です。もう一つのデメリットは板金なら何でもできるわけではありません。板厚の対する加工限界があるので、あまり厚い板厚の板金には別な方法を考える必要があります。

紙でやってみて。

図のように、何も折っていない紙は、ペラペラで強度も何もあってものではありません。更にお話しすると、外周は手を切る可能性のある危険な部位となります。ですが、次・次のように折っていくと、追った部分が骨になり形状の強度が上がります。これがヘミング曲げの原理です。更に追った部部分は、手を切るようなこともなく安全度もぐっと上がります。

安全と強度の考え方:有名リゾートなんかで「定番の缶のお菓子」が多く売られていますよね。あの缶の板金のエッジ部分は、くるんと丸まっています。あれはヘミング曲げではないのですが、形状への補強と人への安全性を上げる加工の一つです。ヘミング曲げ以上にコスト(金型費用)ががかかり・板厚の制約も大きくなるのですが、同じ考え方の加工になります。

加工限界(板厚)。

板厚が厚すぎると、ヘミング曲げをした時に形状が作りにくくなり結果、危険な形状になる恐れがあります。加工自体は、鉄については、0.5㎜~2.3㎜程度まで問題なく加工できるでしょう。ステンレスとアルミについては、もう少し条件が厳しく、0.5㎜~1.5㎜程度までを考えておくのが正解だと思います。原因として「ステンレスは硬い」「アルミは柔らかすぎる」所があって、「ステンレスは綺麗に曲がり切らない」・「アルミは、破ける(破損する)可能性があります。」曲げ加工で作るヘミング曲げではなく、プレス加工で作るヘミング形状なら、もう少し融通が利くのですが、金型代がとてつもなくなってしまうので「月産〇万台」でもないと少しハードルが高いですね。

まとめ。

コスト(加工分)はかかるが、それ以上の効果が求められます。製品の形状補強・エンドユーザー様の安全確保、この二つは事前に確保できるのであれば早めに取り入れたい部分です。ローコストでヘミング曲げを取り入れることにより良い結果が生まれることは間違いないでしょう。