【初心者向け】溶融亜鉛メッキと電気亜鉛メッキの選び方

多くのサイトではメッキの方法は記載されているんですけど、「そんなのはどうでもいい」、「どんな特徴があって使い方で選び方があるの?」ここが知りたいだけなんです。そんなあなたに、選び方とを重視してお話していきます。だってあなたが作業するわけではないですよね。重要なのはそこじゃない!

メッキの目的。

基本は金属を守る事を目的に利用されるのが「メッキ」です。ですが、近年はメッキの種類も多く美観を求めた製品もあるようです。今回の題材の「溶融亜鉛メッキ」・「電気亜鉛メッキ」はメッキとしての仕上がりの美観を求めるより耐食性を上げる目的の方が多い加工になります。

溶融亜鉛メッキ。

ドブ付メッキなどとも呼ばれます。プールのような槽に亜鉛を溶かし「ポッチャン」と漬け込んで溶けた亜鉛を付けるメッキ方法です。製品の形状によっては、製品の中に亜鉛が残ってしまう場合がありますので、「水(亜鉛)抜き穴」を付ける必要がある場合が合あります。

電気亜鉛メッキ。

製品を亜鉛液につけて電気を流すことにより、亜鉛液を亜鉛皮膜へと槽内で変化(電気を流し)させメッキを行います。電気亜鉛メッキだけでは「白サビ」に弱くクロメート処理を行うのが通常とされています。クローム処理を行わない場合は、可能な限り早めに塗装で皮膜を作る事により「白サビ」の発生を回避できます。

比較。

ここから各メッキ方法の比較をしていきます。重要なのは、製品のスペックではなく「あなたの要求値がどこにあるか」です。比較の内容に対してどちらがよりマッチしているかを選び出してください。

被膜厚さ。

溶融亜鉛メッキは、50μ~100μ(0.05㎜~0.1㎜)、電気亜鉛メッキは、2μ~30μ(0.002㎜~0.03㎜)となりあます。被膜(膜厚)が厚いほど強いメッキと判断されます。溶融亜鉛メッキは、被膜の厚さのコントロールが難しく(槽に漬けてあげるだけ)所々で皮膜の厚さに差が生まれる可能性が高いです。それに比べ電気亜鉛メッキは、流す電気量(クーロン量)に対応して被膜の厚さをコントロールすることが可能です。

強さは溶融亜鉛メッキ。

外観。

純粋にメッキ後の外観は、電気亜鉛メッキに軍配が上がるでしょう。溶融亜鉛メッキは、表面が少し「ザラザラ」しています。更に可能性の問題ですが、槽に異物混入の可能性も高く、メッキ処理後「異物の付着」が見られる場合もあります。
電気亜鉛メッキは、被膜の厚さのコントロールがされているだけあって「サラサラ」した表面を形成しています。

外観では電気亜鉛メッキ。

耐候性(屋外使用)。

ここで言う耐候性は、被膜の厚さがそのまま答えになります。

耐候性の高いのは、溶融亜鉛メッキです。

加工での問題。

ここは可能性の問題と一般的に言われているお話をさせていただきます。
溶融亜鉛メッキの加工は、板厚の薄い製品で行うと熱がかかる関係、歪みが発生する可能性があります。ですが、電気亜鉛メッキでは、その心配が無く製品は正常な形状を保つことができます。

変形の心配が無いのは、電気亜鉛メッキ。

塗装。

メッキ後の塗装処理については、溶融亜鉛メッキについては、粉体塗装のように膜厚(40μ~60μ)の厚い物でないと、メッキのザラザラ感が出てしまう事もあります。粉体塗装を選択肢とすると、溶剤塗装に比べ色数は激減します。電気亜鉛メッキについては、外観が美しいだけあって、溶剤塗装(10μ~30μ)もきれいに塗装が可能です。
電気亜鉛メッキ+溶剤塗装の場合、被膜の厚さは60μ程度です。
溶融亜鉛メッキ+粉体塗装の場合、被膜の厚さは160μとなります。

美観を取った塗装は、電気亜鉛メッキ。
耐候性などを考えた塗装は、溶融亜鉛メッキ。

利用方法。

あなたが目にする製品を上げる事によりイメージがわくと良いのですが。

溶融亜鉛メッキ。

基本は「サビ」から守るが一番の理由。雨ざらしの製品が多くあります。

  • ガードレール
  • バルコニーの手摺り
  • 屋外設置の配電盤
  • 外階段
  • 街路灯

溶融亜鉛メッキ。

湿気は別に考えて、水の利用のない場所で利用されます。

  • メッキネジ
  • 精密機器部
  • 品家電部品
  • スチール家具

まとめ。

あなたの要求値に比べて答えは出ましたか?仮に問題点があった場合、加工工場とその問題点となる部分を重点的に打ち合わせを行えれば話はスムーズに進むのではないでしょうか。メッキは他にも美観を追求したクロームメッキ・ユニクロメッキなどもありますが、基本的には素材(製品)をサビから守る目的が強いでしょう。あなたが利用する製品は、メッキが必要でしょうか?それとも以前お話した「SGHCやSECC」などで代用が利くのでしょうか?