ステンレスの表面処理(仕上げ)、特徴と選ぶ理由

ステンレスの表面処理、難しんですよね。機能・性能が決まっていての選定ならいいんですが、「マッチしたものを探そう」とした場合は、「どんなものがあるの?」ってところからですよね。それでも数多くある種類の中から選ぶのは大変なんで、少しだけ事前に間引いておけると楽なのではないでしょうか?ステンレス表面処理の選び方のコツです。

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ステンレスの表面処理の分類。

いきなり全部の分類を考えると分かりずらくなってしまうので、どんな種類に分かれるかを考えていきましょう。設計の目的として考えられるのは、大きく分けると3つでしょうか。

  • 素材 
  • 研磨 
  • 特殊加工

素材としての選定。

素材としての選定は、ステンレスの「錆びにくい」と言う特徴を生かした選定です。常に水のある場所などで多く使われる選び方です。
選定の理由は、耐食性重視と言えるでしょう。

研磨状態の選定。

装飾としての選定方法で、磨く事により「鏡のような」光沢・反射機能を付けた処理になります。街中でビルの柱やエレベーターの中で自分が映り込む事がありますよね。あれは研磨されたステンレスを使われていることが多いです。
選定の理由は、外観重視になります。

特殊加工の選定。

機械的に加工(傷を付けたりして)を加え模様を作り出します。その模様は、「線であったり」・「円であったり」「ランダムな模様」であったりします。傷をつける事により、新たな傷を目立たなくしたり、滑り止めの効果があったりするのが特徴です。
選定の理由は、機能重視+少しだけの外観です。

耐食性重視のステンレス。

耐食性を重視した場合のステンレスの選定は、表面処理として「No1」と呼ばれるものになります。
熱間圧延加工により作られた後、酸洗い処理を行い表面の不純物を除去します。光沢が無く個人的にですが「ねずみ色」と呼びたくなるような色をしています。

冷間圧延 「No2D」。

「No1」に比べてわずかに光沢があります。熱間圧延⇒冷間圧延⇒酸洗いで作られるステンレスです。主に構造物の作製に使われる製品で、建材としての認識が一番多いかもしれません。「No2D」は特徴としてわずかな光沢がある為、光沢を嫌がる場所にも利用されます。「屋根・バルコニー・雨樋」などです。

研磨されたステンレス。

研磨されたステンレスは、研磨する道具の番手(目の粗さ)によって種類が分かれるため、表面処理の中でも基準となる種類は豊富です。

「No2B」。

「No2B」は、「No2D」を素材として冷間加工を行います。「No2D」を研磨し光沢部分を引き出した製品が「No2B」となります。店舗装飾などに使われる事も多く、光沢による反射もありますが、「鏡」と言うには少し遠いレベルです。流通は一番良い素材なのかもしれません。

「No3」。

「No2B」・「No2D」を素材として#100~#120で研磨します。光沢は残るのですが、反射は「No2B」より少し落ちます。飲食店の設備などに使われる事の多い素材です。

「BA」。

冷間圧延処理を行った後に、光輝熱処理を行った表面処理になります。鏡のような反射・光沢が特徴で装飾部品と使われることが多い素材です。黒モノ家電・自動車/自転車部品などです。

「#240・#320・#400・#700」。

すべて「No2B」・「No2D」を素材として作られる表面処理です。研磨用の道具の番手が違い数字が大きくなる程、目は細かくなります。光沢はあるのですが、よく見るとどれも細かなスジがあります。装飾部品に使われることが多いですが反射の適さない場所などに利用されることが多くなります。要望によっては、装飾としての建築材・厨房機器などにも利用されます。選定の種別としては、最もこだわりの出る選定部品となるでしょう。

「#800(鏡面仕上げ)」。

文字の通り、鏡として利用できるほど研磨を行う表面処理です。利用には注意が必要で鏡に近い反射の特性がある為、直射日光や光の反射で適さない場所も生まれてきます。建材での利用は注意が必要です。

特殊な表面処理。

特殊加工は、会社オリジナルなどもありますので、すべてを語る事は難しいです。ですが、どこでも依頼できると思われる代表的な表面処理についてはご案内していきます。

HL(ヘアライン)。

一方向に丁寧にキズを付けた加工です。キズが模様となり美しい表面仕上げとなります。光沢が失われるのですが、きれいに揃った模様により高級感が生まれるという意見もあります。建材としての利用が多く、エレベーターの内部などによく使われている所を目にします。

バイブレーション。

ランダムにキズをつける事により作られる表面処理です。利用する素材、付けるキズの深さにより光沢を一部残すことも可能です。生活の中で触れることが多く、キズが付きやすい場所などに利用される事が多いようです。

ショットブラスト。

「No1」に「砂や金属の粒を吹き付ける」事により表面に凸凹を作る表面処理になります。吹き付ける、素材・大きさ・射出スピードにより仕上がり状態が変わります。表面がザラザラしているため、落下防止や滑り止めなどに使われることも多々あります。

※外観品としての利用の場合サンプルなどの確認は必要です。

まとめ。

ステンレスの表面処理は、「機能であったり」・「美観であったり」様々ですが、あなたの要求値で選定の幅を狭めるしかありません。「錆びにくい」の耐食性が欲しいのか、鏡のような美観を求めるのか…。今回は13種類の表面処理をご案内しましたが特殊な表面処理技術をお持ちの会社はまだたくさんあるようです。いろいろと調べてみてください。

※外観で選ばれる場合は、サンプルの確認は必須です。