【板金基礎】その皿モミ(皿トリ・座繰り)加工大丈夫ですか?
皿ネジの利用は、設計でよくあることですね。目的もそれぞれだと思います。皿ネジを取り入れる時の、注意事項意識されていますか?図面の指示通りの製品を作れば、工場的には問題ないのですが、「知っていいて、言わない」は罪かなと…
皿ネジの加工で忘れてはいけない「利用するポイント4つ」と、「注意するべきポイント2つ」のご案内です。
頭部径と頭部高さ。
ポイントは、頭部(皿)の部分の外形と頭部の高さです。頭部径を読み込んだ設計をされる方は多いのですが、頭部の高さを読み込むのを忘れる方はかなりいらっしゃいます。本来の目的が損なわれた結果になってしまうんです。
皿ネジを使う効果。
皿ネジの効果は、4つ「美観」・「安全性」・「邪魔にならない」・「心出し」あなたの皿ネジ利用の条件に当てはまっていますか?
美観。
締めた後は面がフラットになる。
安全性。
締めた後は、突起部分がないので、突起したネジに比べると怪我の率はぐっと下がる。
邪魔にならない。
特殊な利用ですが、突起がないので、組付後ネジの上に製品を置くことができる。機械設計では多い。
心出し。
ネジを締めると、皿のおかげである程度中心が出る。場合によっては美観もよくなる。
思っているより深い皿トリ。
取り付けるプレートだけで確認をすると、皿ネジはきれいに入っているのに、「深さが足りなくて頭が飛び出ている。」こんな現象にならないためには、事前に深さも読んでおけばいいのですが、思っているより深さは必要です。実は直線部分もあったります。
右図(A拡大部)のように、直線部分(C)があるため、この分が飛び出してしまい、「あれ?」なんて事にもなります。(※Cは、0.2~0.3㎜。)C部分が鋭角になると「もろくなる」ため若干の肉を持たせます。
必要な深さ。
必要の深さは次の通りです。
ネジの呼び径 | 頭部径(D) | 頭部高さ(K) |
M2 | 4.0㎜ | 1.2㎜ |
M2.5 | 5.0㎜ | 1.45㎜ |
M3 | 6.0㎜ | 1.75㎜ |
M4 | 8.0㎜ | 2.3㎜ |
M5 | 10.0㎜ | 2.8㎜ |
M6 | 12.0㎜ | 3.4㎜ |
M8 | 16.0㎜ | 4.4㎜ |
深さが確保できない。時には、特殊皿ネジも。
特殊皿ネジと言っても、手に入らないような特殊なネジではありません。特殊なところによく使う皿ネジという意味です。実際はあなたの家にもたくさん使われているのではないでしょうか。窓ガラスやサッシなどに使うネジで、皿ネジなんですが頭の皿の部分が小さいネジがあります。
※入手しやすさも「モノづくり」には重要な要素です。
サッシネジのサイズ。
ネジの呼び径 | 頭部径(D) | 頭部高さ(K) |
M3 | 5.0㎜ | 1.3㎜ |
M4 | 6.0㎜ | 1.4㎜ |
M5 | 8.0㎜ | 1.9㎜ |
M6 | 10.0㎜ | 2.4㎜ |
M8 | 12.0㎜ | 2.6㎜ |
※手には入りますが、通常のネジよりコストは高いです。
まとめ。
皿ネジでプレートを止めようと考えたが、深さが足りずに「あれ?」こんな現象はかなり見てきました。対応方法の一つとしては、「板厚を上げたプレートを作り直す」、「ネジ側に深さがあるなら少し穴をあける」などがあるのですが、どちらにしてもロスが生まれますので、事前に管理できる項目であれば見ておきたいところです。皿ネジ1つの使い方も理由があって、使い方がある。使い方のポイントは4つ、注意点は2つです。