タレパン加工の成形加工 2:ルーバー加工

板金加工で筐体内の排熱に力を発揮するルーバー加工ご存じですか。パーツ・プレート加工された状態で製品として売られていることもあるのですが、パーツでの実装はいくつものハードルがあります。そんなルーバー加工のメリットやデメリットのお話です。

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板金加工のルーバー加工って。

そもそもルーバーの目的は、水濡れ防止・遮光・排熱なども目的に利用される加工になります。昔の日本家屋で言う「ガラリ戸」や「鎧戸」と呼ばれるものの進化だと思ってください。この説明の方が分かりにくいでしょうか。汗
まあ、建築のご案内をするわけではないので詳しく伝わらなくてもいいのですが、板金のルーバーは、家電や設備品・重機など、色々なところ使われています。家電で言うと発熱の可能性が高くどこにでもある、電子レンジ・トースターなどが分かりやすいでしょうか。

電子レンジルーバー

利用方法。

屋内・屋外は問わない。形状は若干の変更はあるが、家電などの屋内での利用の場合、内側に向けて加工される場合もある。屋外での利用の場合、家電より大きな熱量を発生させる場合があるので、自然排熱では不足と考えられる場合も多い。その場合は、ルーバー(排熱口)の位置を考慮し筐体の対角線上や熱量の多い部分への排熱を促すため吸気ファンを取り付ける場合もあります。

設置向き。

家電はけが防止のために、内側に取り付けることが多いようです。また熱量の多いトースターなどは、切り込みが上を向いていることもあります。

排熱。

排熱を計算すると奥が深いです。吸気ファンのフィルターの計算や設置環境・フィルターの清掃頻度と、多くの要素が絡んできます。ファンは低い位置だと「綿埃を集め」高い位置だと人の迷惑になる場合があります。

設置方法。

業務用の機器を販売しているサイトには、ルーバーを金属・樹脂に加工しプレートとして販売している場合も多い。その際の注意点としては、「いたずら防止」が難しいです。※いたずら防止とは、ネジを外されたり・樹脂であれば壊されたりすることです。
筐体本体への加工ならネジを外されることはないですし、金属であれば簡単には壊せません。このような理由から、筐体本体への加工が好まれます。

加工用の金型の問題。

加工を行うには、プレスであれタレパンであれ金型が必要です。ここで少しタレパンでの加工とプレスでの加工を比べてみます。

加工費用。

タレパンは、本体の加工と同時にできるので加工工程としては格安です。加工費は、タレパン1パンチの加工費×ルーバーの数となります。プレスの場合は、タレパンで外周を抜いてから、ルーバーの加工だけを行いますので、段取り費は×2(タレパン・プレス分)になります。ですが、プレスの場合、大きな金型を作れば1回で10個のルーバーを作ることも可能です。(大型のプレスが必要になりますが)ここで考慮すべきは総生産数でしょう。〇千個も作るならプレスもありかもしれません。

ルーバーのサイズ。

プレスは制限がありません。(大きいと高くなりますが…)タレパンの場合、幅は100㎜未満で考えたほうが良いかもしれません。

金型費用。

一概には言えないのですが、タレパンもプレスも数十万は必要でしょう。参考までに、タレパンは30万以上から、プレスは形状によりですが近い金額になるでしょう。

板厚の制限。

レパンの加工は、2.3㎜まで加工です。ですが、ルーバーの加工をするなら1.6㎜ぐらいをめどに考えておいた方が良いかもしれません。形状に個体差が生まれる場合があります。その理由としては、タレパンでのルーバー加工は、「切り起し」という工程で作業しているからです。切れ目を入れるのと同時に形状を作る高負荷の加工を行うためとお考え下さい。わたしのオススメは1.0㎜です。

設計の前に。

ルーバーは、金型がネックな加工です。100個や200個のために金型を起こすのは難しいのではと思います。何故なら、200個と考えても、30万の金型では、1か所1.500円これでは…と思われて当然です。1.000個でも150円と考えると10.000個ぐらいで現実味が出ますかね。そうなると、「部品としてのルーバーを利用しよう」となってしまうわけです。ですが、調べてみると自社設備としてルーバーの金型を持っている工場もかなりあります。ルーバーは形状要望を出す前に、格安で加工できる工場を探すのも1つの手ではないでしょうか。その工場の金型を利用できれば「金型のコスト」は不要となります。

対候性。

屋外での利用は多数ありますが、加工自身が対候性が高いとかの話ではありません。

屋内製品の場合。

  • メッキ鋼板での利用。
  • メッキ鋼板+塗装

屋外製品の場合。

  • ステンレス+粉体塗装。
  • メッキ鋼板+粉体塗装。
  • SS400+溶融亜鉛メッキ+粉体塗装

このような対応が多いです。

まとめ。

ルーバー加工は、使用用途によるメリットも多いですが、加工を行うハードルが少し高いです。設計に取りいてる場合は、先ず利用する数を考え、10.000個以下なら工場所持の金型を使わせていただく方法を考えましょう。ホームページなどで掲載があれば連絡すると形状データを頂けるかもしれません。