ZAM材って何?なにが得なの?向かない加工は?
「ZAM材」材料を色々調べていて「なにか良さげな材質でない?」と思うのですが、調べれば調べるほどよくわからない。「これ正解です。」この業界の悪い所で、調べていくとどんどん難しくなっていって、最終的に自分の調べたいことが分からなくなる…わたしもよくありました。上級な加工に必要な情報はいらないんです。もっと優しく、利用方法なんかが知りたいんです。そんなあなたへの「ZAM材」のご案内です。
ZAM材を知ろう。
ZAM材は、日本製鋼が提供している日本製鋼オリジナルの材料です。オリジナルのメッキを施すことにより「高い耐食性を武器」とした材料になります。
ZAMの名前は。
ZAMも他の材料と同様に、アルファベット一文字ずつに意味があり、一文字ずつに分解できます。
- Z=Zinc(亜鉛)
- A=Aluminum(アルミ)
- M=Magnesium(マグネシウム)
この3つの素材を溶かし、メッキの材料として鋼板に塗布する。これによってつくられた材料がZAM材です。
工法は溶融メッキ。
工法は、溶融メッキになるので「SGHCやSGCC」と同じ工法なのですが、付着する素材に日本製鋼オリジナルの技術が入っていると言うことになります。
ZAMの利用の注意点。
- ZAMは他のメッキ鋼板と同じで、破断面はメッキ処理が存在しません。
- ZAMは日本製鋼の製品です。その為、日本製鋼の材料を手に入れるルートのない板金工場では入手・利用が困難です。
他の材料との比較。
ZAMは他のメッキ鋼板(SG・SE)に比べると耐食性は、10~20倍高いと言われています。面の耐食性は非常に高い製品になります。
メッキ鋼板の呼び方と位置。
いつもの業界の悪い所です。割とZAM材は「ZAM」と呼ばれることが多いですが、メッキ鋼板を呼ぶ呼び名で、メッキ鋼板・ジンク材・ZAM材・亜鉛鋼板…どれもその工場によっては、ZAMであったりなかったりしますので、しっかりと確認しましょう。
価格。
最近は為替の関係などもあるので、近い金額を出すことが難しいのですが…
- SPHCを1とした場合
- SS400が1.2倍
- SPCCが1.3倍
- SEHC/SGHCが1.5倍
- ZAMは1.6倍
仮にSPHCが100円/㎏なら、ZAMは160円/㎏と読んでおいてください。
ZAMの加工について。
切る(レーザー加工)ですが、個人的には好ましくないです。綺麗に切れないとかではなく「メッキ」が白い粉になり空中に舞うからです。加工や精度に問題はないのですが、掃除が大変…大丈夫です綺麗に切れます。
抜く(タレパン加工)問題はないです。板厚の4倍~5倍の高さ出す成形加工(ルーバー)も対応が可能でした、問題は、タレパン加工の限界厚さ2.3㎜に変更はないのでご注意ください。
曲げ(ベンド加工)経験値では、1.6㎜のヘミング曲げも対応可能です。他形状を作るための曲げ加工で問題はないでしょう。
溶接 鉄(1538℃)に比べると溶接は得意ではないと言えるでしょう。ZAMの素材である「亜鉛(419.5℃)・アルミ(660.3℃)マグネシウム(650℃)」が鉄に比べると低い温度で溶けてしまうため、溶接を行おうとすると先に気化してしまいます。その為、スパッタ・ブローホール・クラックなどの溶接不良の原因になる可能性があります。
溶接を避けた対応。
得意でないことを無理にさせる必要はないでしょう。ネジ止め・リベット・ファスナーなど、ZAMの場合もう一つ部品を増やす事を考えることも必要です。部品が増えるとコストは上がりますが、それを超える高耐食性の特徴は、天秤にかけてもおつりがくると考えています。
まとめ。
ZAMのメリットは、「高耐食性」これにつきます。いままでのSGHCやSECCに比べた耐食性は劇的な進化と言えるでしょう。利用される場所も、建築・自動車・家電あらゆるジャンルで利用され活用されています。ここ最近はEV車の充電器の内部機器などにも多く使われているでしょう。デメリットである溶接性の問題もメリットでカバーできるほどの高耐食性を重視する考え方で選定理由とされることが多いです。本当の問題は、利用しようとしている工場で入手可能かどうか?と言うことが問題のようです。