精密板金とは?なにが決めて?どこからが精密?
板金加工の中で、「精密板金」理解できています?
依頼先を考える時に、精密板金が得意という会社と通常の板金加工が得意という会社で、あなたの手元の図面は、どちらに依頼すればいいのか迷われたことありませんか。中には精密板金を専門で受け入れしている会社さんもありますのでコストにかかわるかもしれないですね。先ずは、通常の板金加工と精密板金の切り分けをご案内させていただきます。
精密板金の定義はあるのか。
残念ながら明確に、ここから精密板金という定義はありません。そんな中、世間で言われているのは、「1.寸法公差の厳しい板金加工。」・「2.板厚0.1㎜~3.0㎜の板金加工。」この二つのようですが、わたしは、2は違うと思っています。板厚で切り分けてしまうと、建築板金も精密板金扱いです。建築板金は精密さよりも美観を問われる製品ですので違うのかなと。そうなると、精密板金とは、「寸法指示の厳しい板金加工。」これが答えです。
※寸法指示の中には、外形・孔径・孔位置・曲げ寸法など様々な寸法が対象です。
厳しい基準はどこに。
基準は抽象的なものではダメです。ここでの基準は、JISで決められている公差(JIS-B0408)でしょう。この基準は、一般公差と呼ばれるほどですので、一般的な加工です。一般は、精密にはならないでしょう。となると、JIS-B0408より厳しい基準で設定された寸法加工の製品を精密板金と呼ぶのです。
実数の確認。
例として曲げおよび絞りの寸法公差を見ていきます。通常の板金加工でよく使われるのは、B級のラインになります。この程度の加工は、余程特殊な形状でなければ普通の加工です。とても「精密」などと呼ぶものではありません。A級になって初めて微調整が必要になったりする加工となるのです。ですので、「形状によりA級」または、「A級以上の精度を求めた加工」を精密板金と呼ぶことになるでしょう。
曲げおよび絞りの普通寸法許容差(JIS-B0408-1991)
単位 ㎜
基準寸法区分 | 等級/A級 | 等級/B級 | 等級/C級 |
6以下 | ±0.1 | ±0.3 | ±0.5 |
6を超え30以下 | ±0.2 | ±0.5 | ±1.0 |
30を超え120以下 | ±0.3 | ±0.8 | ±1.5 |
120を超え400以下 | ±0.5 | ±1.2 | ±2.5 |
400を超え1000以下 | ±0.8 | ±2.0 | ±4.0 |
1000を超え2000以下 | ±1.2 | ±3.0 | ±6.0 |
±0.1㎜曲げのA級公差について。
±0.1㎜ということは、上下で0.2㎜の幅があります。普段意識していないと0.2㎜はとても小さく、精密・微細こんな言葉が合うのかもしれません。ですが、確認してみてください。0.2㎜、0.1㎜は「目に見えるし、触ることも可能です」だって、女性の髪の毛は平均で0.08㎜と言われています。掴むこともより分けることもできますからね。
難しい加工と精密板金は違う。
勘違いをしないで下さい、難しい加工=精密板金ではありません。難しい加工は、「道具があれば・知恵があれば」できる加工になります。道具とは、加工に見合った「金型」であったり、「治具」であったりという意味で、「知恵」とは、加工道中のイメージをより具体的にイメージできるかです。
- 道具=金型があれば絞り加工ができる。
- 知恵=普通のベンダーで曲げれない⇒長めに曲げて後でカットする。
こんな感じです。
精密板金は、特殊な加工機がなくても可能で、言葉で表現するなら丁寧な作業が精密板金となります。※要求に合った計測をできる道具は必要です。
このように精密板金では指示(公差)が厳しくなります。
コストはどうだ。
精密板金を専門に行っていただける板金工場があります。全体的に比較すると通常の加工を行っている工場よりはコストは少し高いかもしれません。なぜなら、精度の高い測定を行う設備が必要だからです。ノギスもデジタルでないと1/100は計測が難しくなります。「高い精度を求める」は、要求値です。要求値が多くなればコストがかかるのは当然です。
まとめ。
精密板金の切り分けご理解いただけましたでしょうか、あなたの要求値(精度)が精密板金か、そうでないかを決定するのです。今回は、JIS-B0408の一部を利用して説明しましたが必要な部分は、ご自身で確認を行い手元に置いておくとよいかもしれません。