金属加工の見積依頼、損しないために注意できること

金属加工の見積り依頼をした⇒回答が来た⇒高いのか安いのかよくわからない。こんな経験はないですか。工場としても悪気はないのだと思いますが、伝えづらい部分であるのは確かです。あなたが細かく理解するには知識も経験も必要に…。そんな時間も知識を得る場所もないのに…これが本音ですよね。今回は、安くするのではなく、損をしないような設計を意識して見積依頼が出せるような設計を目指します。とは言っても専門用語を並べても「それが分かればいまさら・・・」そうですよね。今回は、業界の違うあなたでも分かりやすいように色々と例を挙げてお話ししていこうと思います。

飲食店・居酒屋さんを題材に金属加工の見積をイメージ。

突然ですが、金属加工の見積を依頼する人は世の中に「なん%」ぐらいいるんでしょうね?それに比べ飲食店・居酒屋さんを利用したことがない人は皆無に近いのではと思っています。なので、ここからは、飲食店と比較しながらお話しできればと思っています。
コストカットをするというより「全体的に損をしない設計を理解しましょう」。

合言葉は:専門店ではしご酒おまかせで同じものを

専門店なのに違うメニュー?。

例えば、天ぷら屋さんなのにメニューにあるからってパスタを頼む。これ金属加工の考えではNGです。依頼先の工場がステンレスの加工が得意なのに、アルミニウムの加工を依頼する。できなくはないけど得意でないんでコストが上がる可能性があります。※飲食店の場合、べらぼうにおいしい場合もありますのでたとえ話です。

2件3件の「はしご酒加工」はなるべくしない。

ここで紹介できるのは、加工機の種類や、依頼先の数です。例えば板金加工の場合、切る・抜くという工程の可能な設備は、「レーザー加工機とタレットパンチプレス」となります。2種類の加工機を利用すると、2件のはしご酒をしたのと同じで「お通し代金」が2件分必要になります。300円で済むお通し代が、600円になる可能性があります。10.000個・100.000個作るなら、全体の300円なので気になりませんが、1個作るなら300円無駄に払う可能性が出てきます。同様に2社・3社に依頼するのも同じです。「お通し代」は可能な限り払わない。

おまかせを聞いてみる。

飲食店に行くと「おすすめ」的なメニューがある時ありますよね。その部分をうまく使いましょう。飲食店で「おすすめ」を見て何かわからなかったらどうします?「無視する?」「何か聞いてみる」答えは後者。「聞いてみる」が正解です。折角おいしいものが食べれるかもしれないのに「なぜ聞かない?」!金属加工も同じです。「決めかねている部分がある」「理解しきれていない部分がる」「悩んで答えが出ていない」こんな時は、聞いてみてください。頂ける回答はその工場のメリット(得意)を組み込んだ回答になるので、コストが抑えられる可能性があります。

時間がないなら同じもの。

ランチタイムにランチではなく単品を!しかも大人数でバラバラ…この注文は良くないですね。注文ですので飲食店も金属加工工場も依頼があればやってくれますが、時間がかかる(高くつく)可能性があります。ここで言う注文は、材質が違う・板厚が違う最初にお話しした、「はしご酒」に似た行為です。可能な限り板厚材質は揃えたほうが安くなる可能性は上がります。

見積のブラックボックス。

金属加工に限らずですが、見積り(原価計算)などをする時には、色々な要素が必要です。例えば、飲食店なら食材の減価・店舗の家賃・光熱費・・・見積りは数字の積み上げになるので、金額や計算方法が分かればだれでも可能です。ですが業界が違うと、材料費、加工費そこにかかる掛け率、ココが分からないと「手の出しようがない」これがが正解でしょう。そこで、一般的な金属加工に係る見積りの項目は次にあげる通りです。
・材料費・加工費・人件費・光熱費・経費・利益
いかがでしょう、他の業種と大して変わらない項目ばかりですよね。そうなんです、理解しにくくブラックボックスになっているのは加工費の部分だけなんです。

ブラックボックスになっている加工費。

実際、ブラックボックスというより開示しきれない。この方がマッチした表現な気がしています。なぜか?単純です。パターンがありすぎるからです。レーザー加工機を所持している工場なら、100種類以上の切り方(見積り係数)を通常で持っています。その100種類の切り方を情報でもらっても普通の人は理解できません。その選択・組み合わせに知識が必要でブラックボックスになりがちな原因なのでしょう。

まとめ。

損のしない設計、見積り依頼ご理解いただけましたか?よくわからないブラックボックスの内容を片手間に理解しようとするくらいなら、「あと○○0円安くなりませんか?設計変えてもいいんで。」このような考え方を持っていただける方が製造側としてはうれしいです。必ずこたえられるものではないのですが、「何とかしたい」と思えるからです。