板金加工の材料 SPHC・SPCC 何が違う? 難しく考えず使い分け・コストも考える
こんにちはクロです
色々な情報でSPCCとSPHCのお話出ていますよね。私もそうですが最初何言ってるかわからなくて、何をどうしたら…というのが本音でした。
ですから、今日はSPHC・SPCCの最初に覚えてほしいこと。
これだけは忘れないでほしいこと。今日はこんなお話です。
できるだけ簡単に案内します
化学的な性質や強度、酸化被膜・・・難しいことは別なところで覚えていただくとして、これだけは掴んでおきたい部分や特徴を!
基本的に精度が必要な製品を作るならSPCC。
コストを求めるならSPHC。
両方使用したい場合のコストに関するありがちな落とし穴などご案内
作り方によるSPHCとSPCCの違い
SPCCはSPHCから生まれる。(これだけは覚えてほしいんですよね)
作り方(かなりザックリです)
- SPHC ⇒ ドロドロに溶かした材料を、ローラーで上下から挟んで伸ばして出来上がり
- SPCC ⇒ SPHCをローラーで挟んで伸ばして出来上がり
簡単にいうとこんな感じですが、あまりにも簡単なので
少しだけ説明
そもそもSPHCとかSPCCは何の略語?
- S=Steel 鉄
- P=Plate 板
- H=Hot 熱間圧延
- C=Commercial 商用
繋げてみると:鉄に熱と圧力をかけて板状に伸ばした流通品を SPHC と呼んでいる。
因みにSPCCのC=Cold 冷間圧延
SPHCに圧力をかけて板状に伸ばした流通品を SPCC と呼んでいる。
作り方として、ローラーでの圧力は同じようにかけるので、熱をかけて溶かすか溶かさないかが大きな違い。
SPCCは、基本的にSPHCを薄く伸ばして作るので、設定されている板厚はSPHC>SPCCとなる
熱をかけるのとかけないとどう違う?
表面の出来上がりが違う
SPHC(熱間圧延)の場合、表面にザラツキがある。大きな面で言うと凸凹を感じることができる。
SPCC(冷間圧延)の場合、ある程度慣らした面をプレスするイメージでローラーでの加圧となるため面に精度が出る。その為、加工品も精度を求めた製品の作成が可能になる。
ここで一つ 精度を求めるならSPCC
コスト面でみたSPHCとSPCC
作り方でお話した通りSPCCは、SPHCに再度加圧してつくられます。
工程がSPHCに比べて一つ多いんです。加工が一つ多いので、当然値段も高くなります。
価格にして2割~3割程度は上がります。
こう考えると一つの逃げ道で、大きな部品はSPHC・小さな部品はSPCCなんてのもありかもしれませんね。
1つの製品に2種類の材質 落とし穴の可能性が・・・
量産で月産〇千・〇万の時は気にしなくてもいいのかもしれないですが、少量の場合2種類・3種類の材料はコスト面で言うと足かせになるかもしれないです。
2種類・3種類の材料を使うということは、切る加工で段取りが2倍・3倍になり段取り費用ばかりになってしまいます。製造数・使用量なども考慮して時には割高なSPCCで全部収めてしまったほうが安くなる可能性もあります。ご注意を♪
板厚も同様です。1.0㎜ 1.6㎜ 2種類とか3種類とか…統一できるところは統一しましょう。
まとめ
最初に覚えることとして!
精度の高い加工を求めるなら SPCC
コストを求めるならSPHC
これだけ掴んでおけば設計はできると思います。
雑談:そもそも何故比較される?
私は、劇的な違いがないからだと思っています。簡単に言うと判断が難しいのでしょう。
例えば、もっと明確に【メッキある・ない】のように分かりやすければ、ここまで問題にはならないでは?と思います。私の勝手な解釈ではあるのですが、使用方法に重大な違いがないから明確な答えが出せず比較されやすいのかと思っています。
勿論、機械的・化学的に違いもあり性質な違いもあります。ですが長年加工に携わっていますが、加工後に完成品に大きな影響を与えたという話はなかなか耳にしません。通常、近い特性の材料などは比較されやすく利用方法も明確に伝えられ情報も多く出るのですが、そこまで明確な答えも出てません。
そこが答えなのかもしれないです。
【板金加工基礎】SPHCに種類があるの?SPHC-P?黒皮?なんぞや?