美観に焦点・板金加工のシカル曲げ・ピン角曲げ・Vカット曲げ
大きなRを作った曲げ製品は、設計で良く意識される場面も多いです。今回は逆に尖った角(エッジ)を持った曲げのお話です。あなたも大きなRを持った製品を見ると、「優しい・ソフトなど」のイメージを持たれるでしょう。さらにお話しすると、ちいさいお子さんの製品は、「角の少ないモノ」と思われますよね。明らかに優しいRの製品と比べると需要は少なく感じますが、実は角の尖った製品もあなたの直ぐ近くに多くあるのです。今回の題材の「シカル曲げ(曲げにしては過度の尖った工法)」は、主に美観製品、建築関連に多く意識しないと分からない加工ですが、見れば理解できるしょう。
シカル曲げを理解しよう。
まず金属加工の問題はここでも出てきます。いろいろな呼び名があるんです。代表的なのは、「シカル曲げ・ピン角曲げ・Vカット曲げ」この3つでしょうか。相変わらず面倒な業界です。(今後は、ブログ内で「シカル曲げ」と呼んでいきます。)
シカル曲げのシカルの由来
シカル加工ご存じないですよね。シカル曲げのシカルは、シカル加工からきています。シカル加工とは、野菜の皮をピーラー出向くように、「バイト」と言う刃の着いた工具を使って、金属を剝くように削る加工の事を言います。シカル加工は、角で削る・Vで削るなど様々な形状で削ることが可能です。シカル加工で削った製品を曲げるところから、「シカル曲げ」と呼ばれるようになったとの事です
シカル曲げとは。
通常板金を曲げると、特殊な曲げ型がない場合、曲げた内側・外側にR形状が出てしまいます。このRを少しでも小さくするためにひと手間かけます。それが「V溝」を入れる加工です。「V溝」入れることにより曲げ後、外側のRが小さくなります。
この状態を曲げて拡大すると
シカル曲げの加工後は、曲げのラインが綺麗に出ます。
シカル曲げのメリット・デメリット。
このシカル曲げのメリットやデメリットは、あなたがどんな要求をするかによって変わってきます。一般的に言われているメリットやデメリットは次の通りです。
デメリット
- 強度が低い
- 特殊な加工が必要
- 高額になる
- 薄い板には効果が薄い
メリット
- 鋭角な曲げが作れる
- 小さな力で曲げれる
デメリット。
強度が低い。
V溝を入れているので通常の曲げ加工に比べると強度は低くなります。
特殊な加工が必要。
V溝はすべての板金加工工場で可能な加工ではないかもしれません。(設備の関係)
高額になる。
工数が増えるので、価格は高くなります。
薄い板には効果が薄い。
薄い板は、溝を入れる可能な範囲が少なくなるので効果が得られない場合があります。
メリット。
鋭角な曲げが作れる。
溝がある分、曲げの外側にシャープなラインが作れます
小さな力で曲げれる。
溝が入っている分小さな力で曲げることが可能です。
特性を考えて要求をまとめる。
わたしはそうなんですが、新しく覚えた知識って使いたくなりますよね。このシカル曲げもその一つでした。ですが、このシカル曲げですが利用場所がかなり狭い加工方法です。
見た目がシャープで美観の良いシカル曲げは、通常の曲げに比べ小さな力で曲げることができ、強度が低いです。その為、骨の変わり、壁面の代わりにはなりません。また、あまり薄い板に加工を行っても、思っているより効果が薄かったり、面の部分がたわんでしまって逆に美観を損ねる場合があります。現在利用されている場所を見習ってあなたの要求が合っているのか考えてみましょう。
主に利用されている場所。
主に建築関係が多いです。「あれ、強度が弱いんじゃない?」そうなんです。強度は低いんです。建築関連と言っても骨で使うわけではありません。
- エレベーター内側の装飾
- 店舗の装飾
- 飲食店のカウンター
- システムキッチンカウンター
- 空調ダクト
- 屋根
- 少し手の込んだケース
一昔前は、ビルの装飾に使われることが大かっあのですが、最近はアイランドキッチンやその周辺、空調ダクトなどに利用されることが多くなっています。
まとめ。
シカル曲げは特殊な曲げ加工であることは確かです。利用方法も強度の問題から狭くはなるのですが、加工後のシャープなライン(美観)は、曲げ加工の中でもぴか一です。常に使う加工ではないのですが、マッチするタイミングがあれば最強です