初心者級 3分でわかる SS400の理解
金属の種類って思っているよりあるんですよね。調べていると言葉の意味が難しくて、その言葉をしらべて、そこにまた意味の分からない言葉があって・・・こんなことないですか?私もこの業界に入ったころはそんな感じでした。初めての頃って、そこまで必要のない情報が多いんですよね。そんなあなたのために、厳選した最低限の情報をご案内していこうと思います。「SS400とはなんぞや!」いつ使う?どこで使う?こんなお話です。
製品名正式名称の分解。
金属の材料は、名前の付け方が割と単純なものが多いです。今回のお話の「SS400」先ずここを分解理解しましょう。
「SS400」の分解
分解すると
- Steel 鋼(はがね)
- Structure 構造(構造用)
- 400は保障される引張強さを表しています。
一般構造用圧延鋼材の引張強さ400となります。
SS400の場合規格では、400~510N/mm2の引張強さです。数値は決まっているのですが、下限・上限の幅が広いため製品のバラツキがある素材です。下限値から上限値まで127%も差があるのです。
引張強さとは簡単に。
対象の素材(材料)が壊れる時に耐えることができる強さを表します。
- ゴム⇒ひっぱり続ければいつか切れる(壊れる)
- ぬの⇒ひっぱり続ければいつか破ける(壊れる)
- 金属⇒引っ張り続ければいつか断裂する(壊れる)
このような時の、壊れない保障数値を、引張強さと呼びます。
壊れる現象には、引っ張るの他にも力のかけ方はあります。
- 引っ張る。
- 押し込む。
- ねじる。
- 横から押す。
- 曲げる。
どの力も過剰にかければ破壊(断裂)につながります。
利用方法。
Structure(構造)の名前がついているように製品の構造体に当たる部分で利用されることが多いです。
- 自動車
- 重機
- ビル・建物
- 橋梁
- 船
- その他・機械部品
多品種の形状。
SS400はいた形状のほかにも多数の形状が存在しています。素材として、この多数の形状を規格として設けられているのも特徴の一つでしょう。
- 丸棒
- 角棒
- 角材(中が空洞)
- パイプ
- 六角棒
- 平鋼(FB・フラットバー)
- 溝形鋼
- 等辺山形鋼
- 不当辺山形鋼
- 板材(板金)
SS400のその他の特徴。
ここからは、ザックリと特徴を見ていきましょう。
製造方法。
熱間圧延(黒皮材)と冷間圧延(ミガキ材)の両方が存在する。
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あまり知られていないが「P」がある。
黒皮材を塩酸で処理すると、酸洗材と呼び名が変わります。酸洗材は、あまり知られていませんが、「SS400-P」となります。SS400でも、酸洗材があるんです。
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炭素量。
炭素量については、明確な取り決めはない珍しい鋼です。 おおむね0.15~0.2%程度されています。
見た目の特徴。
黒皮材は、酸化被膜により少しザラザラした感じが特徴です。
ミガキ材は、黒皮材に比べると表面はなめらかです。なめらかな分、加工性に優れています。
表面処理。
皮膜処理・塗装・メッキが可能です。
補足。
SS材は、引張強さによって何種類か規格が存在します。
- SS330 330~430N/mm2
- SS400 400~510N/mm2
- SS490 490~610N/mm2
- SS540 540N/mm2~
SS400以上であれば、要求値は満たす機械的数値も多いですが、大きな特徴としてSS490からは溶接性が悪くなります。
まとめ。
SS400は、設計者として初期の段階で慣れ親しむ素材と言えるでしょう。切削部品であろうが、板金部品であろうが多種な形状を持っているため利用される機会は多いでしょう。中級・上級なお話になると覚えきれないほどの数字での表現が出てくるため、長年の経験で覚えていくことをお勧めします。先ずは、SS400の名前の由来であったり、鋼の規格なのですが、炭素量の取り決めがないと言ったことを覚えておけると良いのではないでしょうか。