ちょっと雑学!【板金】材料のサイズ知ってて得ある?得意な材料!
こんにちはクロです。
板金加工は、板材から製品を切り出すのですが、量産になると材料のサイズや形状によってコストを下げることができる可能性があります。中々チャンスはないかもしれませんが考え方だけでも頭に入れておくと面白いかもです。
工場の仕入れる材料の形状
今回の話は、材質ではありません。形状です!※材質はSPHCとかSPCCとかです。
形状は大きく分けて3種類です。
- コイル材 - 主にプレス工程で利用されます
- 定尺材 - 決められたサイズで板状の流通性の良い材料
- スケッチ材 - 板状の材料ですが、その製品のロスを極限まで減らした材料
形状としてはこの3種類、利用方法や工場の得意によって使い分けられます。
3種の材料形状を掘り下げる
使い方を間違えるとコストも上がり、場合によっては品質を阻害する可能性があります。量産品を設計する段階では、コストを抑えることも可能なので考えてみましょう。
コイル材
大きさは色々とありますが、トイレットペーパーのように巻かれた形状の材料です。
主にプレス工場で利用されます。量産品目的で数千・数万の数を作る時に検討される形状の材料です。材料ロスなども考えて幅を決めますので、同じ材質(SPHCとか)・板厚であっても、製品によって幅が違うというのが当たり前です。
ある意味、「製品Aを作るために、この材料がある。」と言った形状の材料です。
プレス機に入れる前にレベラーと呼ばれる加工機を通して平らにして加工します。問題点として、幅の広いコイル材はレベラーの設備も大きくなり、工場に広さが必要になります。
定尺材
特定の規格のもと作られた板材です。流通の良い材料が多く、多くの板金加工工場で利用されています。流通の良いサイズは4種類。3×6(サブロク)・4×8(シハチ)・5×10(ゴットー)・メーターと呼ばれ使われています。実際の大きさですが、メーターと呼ばれる材料は、1.000㎜×2.000㎜と割と理解しやすいサイズです。ですが他の3サイズは面倒でフィートの単位で作られています。※材料のサイズはJIS規格です。
1フィート=304.8㎜を基準に
呼び名 | 高さ | 幅 |
3×6(サブロク) | 914㎜ | 1.829㎜ |
4×8(シハチ) | 1.219㎜ | 2.438㎜ |
5×10(ゴットー) | 1.524㎜ | 3.048㎜ |
メーター | 1.000㎜ | 2.000㎜ |
レーザー加工機・タレパン加工機・ベンダー(板金を曲げる機械)は定尺のサイズを考慮して作られており、どのサイズまで加工できるか・どのサイズの加工をよくするかにより加工工場は加工機を選びます。
他にも 3×8 ・ 5×8 など規格はありますが、殆ど流通がありません。違いますね…決まった業界にだけ流通があります。
金属加工業界では、JIS規格で存在はするが、流通として皆無に等しい物があります。例えば造船業・橋梁業など殆ど一般に情報のない業界ではJIS規格で材料の規格を設けているが流通はない。問題なのはインターネットなどで流通の無い材料まで、あたかも通常製品扱いで情報を流している。手に入らない幻の材料なのに…あまり耳にしない材料は、注意して下さい。
スケッチ材
指定のサイズで事前にカットした材料の形状です。基本定尺材より小さいです。
利用方法としては、プレスで使う事が多いですが、レーザー加工などでも利用されます。
プレスで利用される理由は、大きなコイル材(幅の広い)は、レベラーを通すのが大変だからです。設備も大型になり、大きな工場でないと取り扱いが難しくなり。その点スケッチ材を使えば人手はかかりますが、1枚・1枚プレス機に投入することが可能になります。
また、スケッチ材の魅力として条件は厳しいですが、加工コストを下げる可能性があります。
このように切る距離(加工量)が少なくなり最終コストが安くなる可能性が出てきます。
まとめ
材料選定は、依頼先の設備にもよりますので、要望が「すべて思い通り」という訳ではないと思います。また、量産のように数を作らないとメリットの出ないことも多いです。ですが、定尺材を扱う工場への依頼で3×6までしか加工できないところへ2.000㎜の依頼をしても「できない」と言われるか外注に出されるかでメリットは薄くなってしまいます。依頼時、「どのサイズまで加工できますか?」ぐらいは聞いておいたほうが良いかもしれないですね。
依頼する工場のできることを知ると、設計やコストに反映できる可能性がぐっと上がりますね。