金属加工工場のペーパーレス化 図面

こんにちはクロです。
ここ数年、印鑑が電子印になったり
メール以外のコミュニケーションツールが多々生まれたり
これだけペーパーレス化が進んでいる中
製造業(金属加工業)の図面による紙文化は、一向に進みません。
どうしてなんでしょう?
実際の流れなんかも入れて考えていきますが、分けて考えたほうが分かりやすい部分もありますので今回は1回目図面管理についてです。
見る方によっては大きなビジネスチャンスかも!

対象の工場の分類

先ず、話を進めるうえで対象工場を考えてみます。
2021年経済産業省発表の情報より、従業員4人以上の金属製品製造業は2万5024事業所あるそうです。最低でも2万5024×4人で10万人が従事していることになりますね。
4人以上としているのは、家族ではない従業員を雇用しているか?の見方より4人とされているのではと思っています。
対象とした工場の分け方は大きく見ると2種類あり、量産工場か個産工場かが一つ、もう一つは従業員数の問題だと思います。
対象工場を深く掘り下げてみましょう。

量産工場

ある程度は進んでいる可能性はある。量産=同じものを作り続けるというところからの対応だが、図面をペーパーレス化するというよりも図面をかみ砕き工程に落とし込む。作業手順書へ置き換えを行ったり、ポカヨケによる行動で図面のペーパーレス化を図る。
作業手順書のタブレット化、ポカヨケとしてのセンサー・バーコード・スイッチなどで図面が手元になくても作業が行えるように対応している。図面のペーパーレスとは少しニュアンスが違うようにも感じるが、ある程度までは対応できているといえよう。但し作り込みにはそれなりの苦労があり、依頼先の介入も多い。また、加工作業者がパート・アルバイト・非正規社員の可能性もあり依頼先よりの指示事項も多くなる。
ここで注意が必要だ、量産工場と言っても幅は広い、自動車を組み立てる量産工場から、その工場へネジを収める工場まであり、対応は様々な状況であろう。全般的に言えるのは繰り返しになってしまうが依頼先の介入がある可能性がある、工程に作業を落とし込み図面不要の製造を目指しているであろう。

個産工場

加工作業に図面は必須。各工程での作業・寸法チェック等が必要なため印刷された図面が使われることが多い。基本作業性と製品保証を考えると図面は常に製品と一緒に工程を進んでいく必要がベストと考えられる。一部だけの寸法違い製品・左右対象製品・穴数違いなど瞬間的な見た目だけで判断の厳しい商品も多いためである。

量産品の製造指示を出すメーカーをトップと考えたピラミッドを想像すると、下に行けば行くほど管理が雑になっているのが現状でしょう。メーカーも下請けの2次3次までは管理できるがその下まで・・・というのがメーカの現状の対応ではないでしょうか。
メーカーの組立工場ではペーパーレスが進んでいても、実際は殆どで出来ていないのではないでしょうか。

図面が紙の必要性

殆どの金属加工工場では、製造工程の足跡を図面に落とし込んでいきます。材質のチェック、レーザー加工のチェック、曲げ工程のチェック・・・といったようにです。
このチェックだけなら既存の図面管理ソフトなどでも管理できるのでしょうが、寸法を測ったり・タップの確認をしたり・角度を計測したり・・・品質管理のために、実際の数値を図面に手書きで記入していることが多くあります。他には、見た目がほぼ同じ製品で、穴数が一部違う、穴大きさが一部違うなどは図面と製品が一緒に工程を流れることにより取違の可能性を低くすることが可能です。
紙の図面と製品が一緒に工程を動くことにより、品質管理が出来る仕組みが現状の金属加工工場の大部分なのではないでしょうか。

私もメーカー様(図面管理ソフト)よりご提案いただいたことは多々あります。納品済みの図面管理だったり、受注時の図面管理、見積書との紐づけなどは素晴らしかったです。ですが、製造に対応できるか?というと私には疑問だらけでした。
現場にタブレットの提案だったり、PCを置いて入力に来る…いろいろご提案頂くのですが、軍手や手袋をした状態で文字入力…粉塵・鉄粉・オイルミストが常に舞う空間でタブレット?考えてしまったのが実際問題でした。

まだまだFax

この見出しで「え?」と思われる方もいるかもしれません。ですが、この業界まだまだFax多いです。多分楽なんだと思います。以前、商社さんの営業さんとお話させていただいたことあるのですが…

メーカから図面・紙で支給⇒そのままFax 楽♪
メーカから図面・紙で支給⇒PDF変換⇒メール 1工程多くなる
それならFax一択だと・・・

人と予算

金属加工業は跡継ぎ問題や世の中の変わっていく環境の変化によって厳しい時代になってきているのは事実だと思います。現役で60代の作業者が何人もいるだったり、以前はゴミとして出せたものが産業廃棄物として管理しなくてはいけなくなったり…
冒頭で2万5024事業所とお話ししましたが、100人を超える規模で金属加工をしている事業所はごく少数だと考えます。殆どの事業所は、100人以下、10~20人程度いれば中堅で10人以下の事業所も多く存在するのが現状でしょう。
ある程度の人数がいれば、システムの予算取りや10年後を見据えた企業設計も可能でしょしょうが、少数・高齢化企業となると投資も難しく、現状維持が限界点のようにも感じます。
※私は100人を超える事業所は5%程度と思っています。

まとめ

ペーパーレスは金属加工事業者として、考えながらも解決策を模索しなければならない問題だと思っています。可能性の話ですがこの先、RoHSやchemSHERPAのように、CO2削減・SDGsのように世の中のもっと深く所に食い込んでいき、努力目標から達成目標のようにペーパーレスが注目されると、現状のシステムでは製造効率がぐっと下がることでしょう。何かのチャンスがあれば事前に社内で検討しておくことも必要かもしれません。
注目されると開発企業の参入も見込めますし、価格競争も生まれ導入しやすいものができるといいと思います。

参考:記事を作成した際に参考にしたサイトは、https://www.meti.go.jp/index.htmlです。
経済産業省 2020年工業統計調査 2.調査結果の概要 2021年3月26日 発表
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210326002/20210326002.html